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論文
行徳野鳥観察舎に保護されている幼鳥アオバトのタイマー録音による鳴き声調査
初めての繁殖期を迎えた前年生まれの個体の鳴き声
こまたん 吉村 理子
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2019 年 26 巻 p. 1-12

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抄録

千葉県市川市にある行徳野鳥観察舎に保護されている幼鳥アオバト(調査開始時は孵化後1 年未満)の鳴き声調査をおこなった。調査はIC レコーダーのタイマー録音機能を利用して録音し、アオバトが初めての繁殖期を迎えた個体(前年生まれ)の鳴き声の回数や鳴き方の変化を解析した。

1)アオバトの生まれた翌年の鳴き始め頃の鳴き声は、鳴き始め頃の中でもごく初期は各句最高周波数が低く、それ以降は周波数は標準的な高さになるものの、安定しない未完成なものであると考えられる。また、句の長さについては声の高さほど明らかな違いは無いようである。

これは、鳴き始めの頃は音の高さをコントロールする能力がまだ未発達であると考えられる。句の長さにつての微妙な調整は早い段階からでき、その後、音の高さをコントロールする能力が徐々に発達し、各句の詳細な部分(声紋の形)が整って標準的な鳴き声になっていくようである。

2)アオバトは孵化1 年後程度ですべての個体が不安定ながらも標準的な鳴き声に移行すると考えられる。

3)野外での鳴き声回数の1 回目のピークの山に参加している鳴き声は、行徳17 メスの句10 までが揃うオアオ鳴きが始まらない時期であり、成鳥の個体群が主であると考えられる。

4)行徳17 メスのオアオ鳴きが増加した時期は6 月28 日の谷を過ぎてからであり、こまたん(2018)で推定した「前年生まれの個体群は6 月28 日以降に頻繁に鳴くようになりながら標準的な鳴き声になっていく」こととよく合った。

5)非鳴禽類であるハト目は鳴き声のレパートリーを持たずある定まった鳴き声だけである。その完成によって番相手を得るための一つの条件が整ったと言えるかも知れないが、求愛時に用いられるポポポ鳴きを2 年目は行わなかったことと合わせると、生後2 年目の個体は繁殖に参加していない可能性が考えられる。調査期間中で標準的な鳴き声になるまでの推移で、句10 までが揃った(=標準的な)鳴き声の時期は7 月20 日~8 月21 日であった。標準的な鳴き声とは言えるものの句1 やソング長さ等、まだ安定していない鳴き声だった。

6)飼育かつ非繁殖個体である行徳17 メス(前年生まれの個体)も野生のアオバトと同じような鳴き声の季節周期を示したことは、鳴き声に関するホルモンの分泌状況も同様の季節周期だったと思われる。これは、鳴き始めの頃は音の高さをコントロールする能力がまだ未発達であると考えられる。句の長さについての微妙な調整は早い段階からでき、その後、 音の高さをコントロールする能力が徐々に発達し、 各句の詳細な部分(声紋の形)が整って標準的な鳴き声になっていくようである。

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