バイオインテグレーション学会誌
Online ISSN : 2186-2923
未来の歯科治療としての歯の再生・次世代インプラント
辻 孝
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2021 年 11 巻 1 号 p. 2-10

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抄録

再生医療は、21世紀の新しい医療システムとして期待されている。未来の歯科治療の大きな目標は、喪失した歯を再生により取り戻す「歯の再生治療」である。私たちは、三次元的な細胞操作技術である「器官原基法」を開発し、再生歯胚の同所性移植により、歯根膜や神経機能など完全な機能を有する歯の再生を可能とした。未来の歯科治療として完全な機能回復をさせる歯の再生としては、再生歯胚を移植するのみならず、現在の骨結合型インプラント治療に歯根膜を付与することによってう蝕になることがない機能強化型の歯の再生が考えられる。私たちは、次世代インプラント治療として、歯周組織を有して歯の生理機能を発現するバイオハイブリッドインプラントを開発した。さらにインプラント体の開発を進めると共に、大型動物を用いて非臨床有効性の検討を進めている。本稿では、未来の歯科治療としての歯科再生医療の実現に向けた研究の戦略とその進展を紹介する。

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© 2021 一般社団法人バイオインテグレーション学会
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