Journal of UOEH
Online ISSN : 2187-2864
Print ISSN : 0387-821X
ISSN-L : 0387-821X
[症例報告]
肺アスペルギルス症との鑑別に苦慮し,急性増悪をきたした肺Mycobacterium avium complex感染症の1例
野口 真吾 矢寺 和博山崎 啓川波 敏則高橋 徹島袋 活子赤田 憲太朗石本 裕士藤井 崇史吉井 千春迎 寛
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 37 巻 3 号 p. 177-183

詳細
抄録

われわれは,骨髄移植7年後に,胸部CTにおいてハローサインを伴う多発結節を認め,急性増悪をきたした,肺mycobacterium avium complex(MAC)感染症の1例を経験したので報告する.症例は68歳,女性.湿性咳嗽と呼吸困難を主訴に当院を受診した.既往として,急性骨髄性白血病に対して同種骨髄移植が施行され,プレドニゾロン(2 mg/day),シクロスポリン(30 mg/day)内服にて通院加療されていた.受診時の胸部CTでは明らかな異常陰影を認めなかったが,入院3週間後のCTにてハローサインを伴う多発結節影を認めた.画像所見より真菌感染症が疑われたが,気管支鏡検査の結果,肺MAC症との診断に至った.本症例は急速な進行と非典型的な画像所見を示したことより,臨床経過や画像所見がMAC症に非典型的であっても,骨髄移植後,または,免疫抑制剤使用後の患者では鑑別疾患の一つとして本疾患を考慮する必要があると考えられた.

著者関連情報
© 2015 産業医科大学
前の記事 次の記事
feedback
Top