バイオインテグレーション学会誌
Online ISSN : 2186-2923
代謝活性因子を含めたin vitro 発生毒性評価法の開発
今井 弘一中村 和昭田上 昭人
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 2 巻 1 号 p. 91-96

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抄録
1997 年にin vitro 発生毒性試験法であるEST(EmbryonicStem cell Test)法がドイツで開発され、国際バリデーション試験で未知の化学物質でも十分に発生毒性リスクを予知できる評価法であることが示された。しかし、発生毒性は全身毒性であるため、化学物質の代謝因子を結果に反映させる必要がある。そこで我々は、ラット肝由来のhepatocyte の培養システムを用いて化学物質を代謝させ、その培地でマウス由来のES 細胞を分化させた。今回評価に用いたのは、歯科用インプラントの上部構造にも用いられる歯科用金属組成元素であるAg, Pd, Cu およびIn で、これらの代謝の有無でES 細胞から分化させた心筋の鼓動率を比較した。その結果、Ag、Pd、In は細胞分化への影響が大きくなったが、Cu は細胞分化への影響が小さくなった。肝臓のメタルチオネインが作用した可能性が大きいと考えられ、invitro 発生毒性試験法に代謝因子を導入することの意義は大きいと考えられる。
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© 2012 一般社団法人バイオインテグレーション学会
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