抄録
歯の切削に用いられるEr:YAG レーザーをレーザーアブレーション法に用いて,大気中でハイドロキシアパタイト(HAp)の厚膜を作製する方法を提案した.ターゲットとして数種類のリン酸カルシウム化合物を用いて,これらにEr:YAGレーザーを照射し,Ti 基板上に膜を堆積させた.続けて堆積膜に水を塗布することで,堆積膜をHAp 化することを試みた.アパタイト前駆体の中でもα型リン酸三カルシウム(α-TCP)が早い堆積速度をもち,かつ48 時間以内でほぼHAp 化できることが明らかとなった.エナメル質上にpH 5.5 のリン酸カルシウム溶液を塗布した状態でα-TCP 膜を成膜した結果,約3 時間でHAp 膜が得られることがわかった.堆積膜とエナメル質の界面は走査型電子顕微鏡(SEM)により観察され,エナメル質上に厚さ約10 ~ 20μm の緻密なHAp 膜が形成されていることがわった.今後この手法は歯質の修復に非常に有用になると考えられる.