バイオインテグレーション学会誌
Online ISSN : 2186-2923
4 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 本津 茂樹, 加藤 暢宏, 山本 衛, 吉川 一志, 橋本 典也, 西川 博昭, 楠 正暢
    2014 年 4 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/07/19
    ジャーナル オープンアクセス
    歯の切削に用いられるEr:YAG レーザーをレーザーアブレーション法に用いて,大気中でハイドロキシアパタイト(HAp)の厚膜を作製する方法を提案した.ターゲットとして数種類のリン酸カルシウム化合物を用いて,これらにEr:YAGレーザーを照射し,Ti 基板上に膜を堆積させた.続けて堆積膜に水を塗布することで,堆積膜をHAp 化することを試みた.アパタイト前駆体の中でもα型リン酸三カルシウム(α-TCP)が早い堆積速度をもち,かつ48 時間以内でほぼHAp 化できることが明らかとなった.エナメル質上にpH 5.5 のリン酸カルシウム溶液を塗布した状態でα-TCP 膜を成膜した結果,約3 時間でHAp 膜が得られることがわかった.堆積膜とエナメル質の界面は走査型電子顕微鏡(SEM)により観察され,エナメル質上に厚さ約10 ~ 20μm の緻密なHAp 膜が形成されていることがわった.今後この手法は歯質の修復に非常に有用になると考えられる.
  • 髙橋 雄三, 森田 雅之, 雨宮 正志, 河野 章江
    2014 年 4 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/07/19
    ジャーナル オープンアクセス
    血小板濃厚液(plateletconcentrates:PC)は,白血球の有無とフィブリン構造の性状からleucocyte-poororpureplatelet-richplasma(P-PRP),leucocyte-andplateletrichplasma(L-PRP),leucocyteandplateletpoororpureplasma(L-PPP),leucocyte-poororpureplatelet-richfibrin(PPRF)concentrated,leucocyte-andplatelet-richfibrin(LPRF)concentratedおよびleucocyteandplateletpoororpurefibrin(L-PPF)concentratedの6つのカテゴリーに分類される.今回,抗凝固剤無添加の全血を,血液凝固時間が遅延するポリプロピレン製プラスチック管で遠心分離(400g10分)し2種類のPRPを作製した.buffycoatを含む血漿層の採取で赤色のPRPが得られred-PRPと名付け,血漿層のみの採取で黄色のPRPが得られyellow-PRPと名付けた.血液学的性状分析から,red-およびyellow-PRP中の血小板数に有意差はなく,全血の約1.43から1.28倍に濃縮された.red-PRPには全血の白血球の70%が残存し,yellow-PRPには10%の白血球が残存したが好中球は除去された.この結果から,red-PRPはL-PRPに,yellow-PRPはP-PRPに相当した.次いで,red-およびyellow-PRPをガラス管で遠沈(650g10分)することによりred-PRPゲルとyellow-PRPゲルが生成された.red-PRPゲルの組織学的所見では,下部に白血球と赤血球の混合層,中部に血小板層,上部に圧縮されたフィブリン層がみられ,yellow-PRPゲルでは,混合層はなくなり,下部に血小板層,上部に圧縮されたフィブリン層がみられた.抗凝固剤なし,ガラス管で遠沈するという作製法と組織所見より,red-PRPゲルはL-PRFに,yellow-PRPゲルはP-PRFに相当した.プラスチック管とガラス管の性質および凝固系因子の使用を操作することによって,全血からより有効で安全な種々のPCが簡便に作製され,point-of-care法として臨床応用可能と考えた.
  • 但野 ちなみ, 尾関 和秀, 増澤 徹, 青木 秀希
    2014 年 4 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/07/19
    ジャーナル オープンアクセス
    早期の骨新生が得られるHA薄膜の獲得を目的として,スパッタリング法により炭酸含有ハイドロキシアパタイト (CHAp)薄膜及びマグネシウム含有ハイドロキシアパタイト(Mg-HA)薄膜の作製を試みた.CHAp薄膜は基板としてチタン(Ti)とシリコン(Si)を用い,Mg-HA薄膜はTiとろ紙を用いた.CHAp薄膜のターゲットはHA粉末,成膜ガスはCO2とArの混合ガスを使用した.Mg-HA薄膜のターゲットはHA粉末とMgO粉末の混合粉末,成膜ガスはArを使用した.Ti基板へ成膜したCHAp,Mg-HA薄膜は,800℃の大気加熱処理を行った.ろ紙へ成膜したMg-HA薄膜は700℃の大気加熱処理によってろ紙を燃焼させ,膜粉末を得た.Ti基板へ成膜したCHAp,Mg-HA薄膜は,X線光電子分光装置(XPS)を用い,Depthprofileによる元素分析を行った.また,X線回折装置(XRD)により生成物の同定及び薄膜の結晶性の評価を行った.Si基板へ成膜したCHAp薄膜は,フーリエ変換型赤外分光光度計(FT-IR)による生成物の同定を行った.作製したMg-HA膜粉末は,XRDパターンのピーク角度よりHA結晶及びβ-TCP結晶の格子定数を算出した.CHAp薄膜では,薄膜表面にのみCの存在が確認された.また,HA結晶中のPO4と置換したCO3の存在が確認された.このことから,スパッタリング法により作製したCHAp薄膜は,表面のみにCHApが生成していた.Mg-HA薄膜では,深さ方向に対して均一量のMgの存在が確認された.また,HAの回折ピークが高角側へシフトしていた.このことから,スパッタリング法により作製したMg-HA薄膜にはMg-HAが生成していた.熱処理を施したMg-HA膜粉末では,全てのサンプルでβ-TCPの格子定数が減少していた.今回作製したMg-HAサンプルは,熱処理前はHAへMgが置換していたが,熱処理後にHAとMg-β-TCPに相分解したことが考えられる.
  • 津山 泰彦, 青木 秀希
    2014 年 4 巻 1 号 p. 85-92
    発行日: 2014年
    公開日: 2020/07/19
    ジャーナル オープンアクセス
    It is pointed out as a weakness of one-piece implant that it is difficult to use the implant at the insufficient bone mass site because of lack of initial fixation after implantation and loosening by occlusal force. In such cases two-piece implants have been preferentially used. However, two-piece implants also have a few weaknesses that they are complicated operation, lower mechanical strength, long healing period, and so on. On the other hand, HA coated implants can be early fixed with bone after implantation due to the osteoconductivity of HA. Therefore, it was considered that one-piece HA coated implants can be used at the insufficient bone mass site. From this point of view we have reported a few papers that the one-piece HA coated implants (AQB implants) were successfully used clinically at the insufficient bone mass site. Furthermore, in this paper a new alveolar bone regeneration therapy was developed by combining one-piece HA coated implants and autologous bone graft.
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