バイオインテグレーション学会誌
Online ISSN : 2186-2923
超薄ハイドロキシアパタイトシートの作製とその審美効果
本津 茂樹平井 瑞樹片山 一郎山本 衛加藤 暢宏吉川 一志
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2017 年 7 巻 1 号 p. 39-43

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抄録

審美歯科では,一般にホワイトニング法やラミネートベニア法が用いられている.しかし,これらの審美法は二度と再生することのないエナメル質に損傷を与えるという問題を抱えており,さらに後者においては接着剤によるアレルギー反応の問題もある.我々は,エナメル質の修復と審美を同時に行える新奇の審美シートの開発を試みた.まず,レーザーデポジション(PLD)法で作製した非晶質リン酸カルシウム(ACP)シートは,低密度のハイドロキシアパタイト(HAp)のターゲットを用いるほど,シート表面のパーティクルの量が増えることで白色度が高くなることがわかった.また,ACP シートをポストアニールにより結晶化したハイドロキシアパタイト(HAp)シートの白色度はシート内部に導入された粒界のためにACPシートよりさらに増加した.変色ヒト抜去歯に白色シートを重ね貼りしたときのCIE 白色度(WICIE)の変化が分光測色計により測定された.シートの重ね貼りの枚数に対応して白色度(WI)は増加し,黄色度(YI)は低下した.以上の結果より,白色HAp シートは審美シートとして非常に有望であることが分かった.

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© 2017 一般社団法人バイオインテグレーション学会
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