バイオインテグレーション学会誌
Online ISSN : 2186-2923
スパッタリング法を用いたPEEK 上へのHA 薄膜の作製と骨形成
尾関 和秀後藤 哲哉青木 秀希
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2017 年 7 巻 1 号 p. 81-85

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抄録

骨との応力適合性,審美性に優れたpolyetheretherketone(PEEK)材の骨親和性を高めるため,スパッタリング法によるHA 膜の成膜を試みた.HA 膜とPEEK 材の密着性を向上させるため,中間層にTi を用い,中間層の膜厚による透明性,細胞培養による骨親和性を評価した.成膜にはスパッタリング装置を使用し,ターゲットには,TiとHA 用い,Ti の膜厚を5 ~ 100nm,HA の膜厚を1μm とした.成膜後は,120℃で24 時間水熱処理を行い,結晶化した.骨親和性の評価には,ラット頭頂骨由来初代培養系骨芽細胞を用い,石灰化実験を行った. Ti 中間層を持つHA 膜は,PEEK 基板上へのHA 成膜が可能であった.また,Ti 中間層の膜厚が10nm 以下では膜の透明性が確認された.骨芽細胞による骨形成面積では,Ti 中間層100nm のHA 膜が最も高い骨形成面積を示し,Ti 中間層5nm のHA 膜においては,低い骨形成面積に留まった.Ti 中間層5nm のHA 膜の骨形成が不十分だった理由として,培養中にHA 膜にクラックが入ったことが一因として考えられた.

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© 2017 一般社団法人バイオインテグレーション学会
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