バイオメカニズム
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1部 筋と感覚の探求
In vivoヒト骨格筋の筋腱相互作用が発揮張力の立ち上がりに及ぼす影響
小田 俊明姫野 龍太郎金久 博昭福永 哲夫川上 泰雄
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2008 年 19 巻 p. 11-22

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抄録

In vivo骨格筋では, 腱組織の持つたるみ (slackness) と弾性のために筋線維の短縮と腱組織の伸長とが相互に作用する筋腱相互作用が生じる. 本研究は, 超音波Motion モード法により筋束 (筋線維の束) の短縮開始時間を求めること, ならびに, Brightnessモード法により筋束の長さ変化を実測することを通じ, この相互作用がヒト骨格筋における1) 張力の立ち上がりまでの時間, および, 2) 張力の立ち上がり局面における力の経時変化に与える影響を明らかにすることを目的として実験を行った. その結果, 1) 刺激から張力の立ち上がりまでの時間の40%以上が筋束の短縮から張力が発揮されるまでの筋腱相互作用に関連する時間に起因し, 関節角度変化による刺激から張力の立ち上がりまでの時間の変化の主要因がこの時間変化であることが示唆された. また, 筋束の長さと速度の経時変化とによって決まる発揮張力の経時変化に, 腱組織のたるみと非線形の長さ—張力関係の使用範囲が強く影響していることが示された.

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© 2008 バイオメカニズム学会
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