バイオメカニズム
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19 巻
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1部 筋と感覚の探求
  • 小田 俊明, 姫野 龍太郎, 金久 博昭, 福永 哲夫, 川上 泰雄
    2008 年 19 巻 p. 11-22
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    In vivo骨格筋では, 腱組織の持つたるみ (slackness) と弾性のために筋線維の短縮と腱組織の伸長とが相互に作用する筋腱相互作用が生じる. 本研究は, 超音波Motion モード法により筋束 (筋線維の束) の短縮開始時間を求めること, ならびに, Brightnessモード法により筋束の長さ変化を実測することを通じ, この相互作用がヒト骨格筋における1) 張力の立ち上がりまでの時間, および, 2) 張力の立ち上がり局面における力の経時変化に与える影響を明らかにすることを目的として実験を行った. その結果, 1) 刺激から張力の立ち上がりまでの時間の40%以上が筋束の短縮から張力が発揮されるまでの筋腱相互作用に関連する時間に起因し, 関節角度変化による刺激から張力の立ち上がりまでの時間の変化の主要因がこの時間変化であることが示唆された. また, 筋束の長さと速度の経時変化とによって決まる発揮張力の経時変化に, 腱組織のたるみと非線形の長さ—張力関係の使用範囲が強く影響していることが示された.

  • 渡辺 彰吾, 栗山 雄樹, 北脇 知己, 岡 久雄
    2008 年 19 巻 p. 23-33
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    骨格筋収縮に起因する微細な振動を記録した筋音図MMG (mechanomyogram) は, 筋の機械的な収縮機能を反映しているが, 強縮時における筋の断面積方向の変位を測定した報告は少ない. 著者らはヒト大腿直筋 (type Ⅱ線維優位) および短母指外転筋 (type Ⅰ線維優位) の皮膚表面において, 30秒間に0.2 [Hz] から50 [Hz] まで連続的に電気刺激の周波数を増加させたときのMMGを, レーザ変位計によって測定し, 骨格筋の強縮特性について検討した. 実験は筋疾患のない21~25歳の男性3名, 女性1名で行った. 本実験より, (1) 異なる筋線維タイプが混在する骨格筋は, 二段階的に不完全強縮が進行し, 筋線維の構成比によって変位MMGの大きさが異なる, (2) 一般的なtype Ⅰ, type Ⅱ線維の単収縮 (筋張力) の収縮時間と弛緩時間から, 強縮過程における変曲点の周波数域を推定した結果, 最初に起こる不完全強縮はtype Ⅰ線維, 続いて起こる不完全強縮はtype Ⅱ線維の周波数域とほぼ一致する, ことがわかった.

  • 加藤 雄一郎, 遠藤 博史, 木塚 朝博
    2008 年 19 巻 p. 35-46
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    刺激─反応 (S-R) 整合性とは, 選択反応課題において刺激と反応の空間的な位置関係が一致するときの方が, 一致しないときよりも反応時間が速くなる現象のことを言う. 本研究では, S-R整合性が情報処理過程における運動プログラムの構築にどのように関与しているのかを明らかにすることを目的に, 筋電図による反応時間分析, 脳磁図による大脳皮質活動の時系列分析を行った. 不整合反応は, 整合反応と比較してPremotor time, Motor timeが遅延し, 反応実行のための一次運動野の神経活動が弱いことが認められた. これらの結果は, S-R整合性が情報処理の時間的側面だけでなく運動プログラムの構築にも影響していることを示唆する. この脳内メカニズムについて, 二重ルート情報処理による自動的賦活と制御的賦活で説明する.

  • 速水 達也, 金子 文成, 木塚 朝博
    2008 年 19 巻 p. 47-56
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では, 体性感覚入力に基づく運動出力調節機能を体性感覚─運動連関機能と定義し, 運動経験による体性感覚─運動連関機能の違いを明らかにすることを目的とした. 対象者を運動経験の差によって運動群と一般群とに分類した. 体性感覚─運動連関機能の測定には, 運動平衡保持法と再現法を用いた. その結果, 運動群は一般群に比して運動平衡保持法の測定結果において有意に優れていた. また, 運動平衡保持法の測定結果には, 関節角度の正確な知覚と, 安定性の高い力発揮が関係していることが認められた. これらのことから, 運動の継続や長期の身体トレーニングを行っている者は体性感覚─運動連関機能に優れ, その背景には体性感覚機能と運動出力機能の向上が関係していることが考えられた.

  • 岩見 雅人, 木塚 朝博
    2008 年 19 巻 p. 57-66
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    スポーツなどでは状況の変化に応じて動作を急に切り換える場面が多くみられ, そのような場面において, 動作を円滑に切り換えることがより良いパフォーマンスにつながる. 本研究では加速度が変化する追従課題を用い, 絶対誤差面積の変化から課題の習熟を捉え, それに伴う正確性と円滑性の変化を明らかにすることを目的とした. その結果, 正確性の指標である絶対誤差面積の減少に伴い, 円滑性の指標である加速度の相関係数は増大した. さらに, 筋活動パターンや同時収縮などから筋出力調節の変化が捉えられた. また課題の成績から対象者を群分けし, 上位群と下位群で習熟過程を比較すると, 円滑性や筋出力調節の習熟過程が異なり, 群間で制御戦略が異なることが示唆された.

2部 姿勢と動きの探求
  • 眞鍋 芳明, 桜井 健一, 岩壁 達男, 尾縣 貢
    2008 年 19 巻 p. 69-80
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, スクワットトレーニングにおける運動速度を含むトレーニングプロトコルの違いが筋断面積, 筋力および運動パフォーマンスに与える影響を検証することである. 被検者を高重量・低回数負荷で行うStrength群, 5秒間かけて下降および挙上を行うSlow群, そして軽重量を用いて全運動範囲において最大速度で行うSpeed群の3群に分け, 6~8週間のトレーニング前後に身体組成, 筋力および運動パフォーマンステストを実施した. その結果, Slow群においては筋肥大が確認されたものの, 運動パフォーマンスは向上せず, Strength群およびSpeed群においては, 身体組成においては変化が認められなかったが, 跳躍および30m疾走パフォーマンスの向上が認められた.

  • 中島 求, 茂木 勇悟
    2008 年 19 巻 p. 81-90
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では, 水泳における筋骨格解析を可能とするため, 著者らが開発ずみで水泳の動力学解析が可能な水泳人体シミュレーションモデルSWUMと筋骨格モデルを統合した, 水泳用全身筋骨格シミュレータを開発した. そのため, まず身体形状, 関節運動, および流体力のSWUMからの出力情報を筋骨格モデルに入力するデータ変換手法を構築した. 次に, 構築したデータ変換手法を, SWUMが実装されたソフトウェアに実装することにより, 統合シミュレータ化を行った. そして開発したシミュレータを用いて, クロール, 平泳ぎ, 背泳ぎ, バタフライの4泳法の解析を行った. さらに従来研究の筋電図測定結果と比較することにより, 本シミュレータの妥当性を検証した. その結果, 本シミュレータによる解析結果は筋電図測定結果と筋力発揮タイミングについて良く一致し, 筋力発揮タイミング推定に関しての本シミュレータの妥当性が確認された.

  • 平山 大作, 藤井 範久, 阿江 通良, 小池 関也
    2008 年 19 巻 p. 91-102
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究は, 大学野球投手を対象とし, 投球数の増加にともなうキネティクスの変化について検討することを目的とした. 実験試技は, 2台のフォースプラットフォームを埋設した簡易マウンドからストレートを投球するものであった. 被験者には, 10秒間隔で15球投げることを1イニングとし, イニング間に6分の休息をはさみながら9イニング, 計135球の投球を行わせた. 投球数とそれぞれのパラメータから単回帰分析を行い, 回帰係数の有意性について検定を行った (p<0.05). その結果, 投球数の増加にともない, ①踏込脚の股関節伸展の正仕事, 負仕事, 絶対仕事が減少する傾向がみられた. ②投球腕の肩関節内旋の正仕事が減少する傾向がみられた. ③投球腕への関節力による力学的エネルギーの流れの減少がみられた. ④投球腕の肩関節水平内転の正仕事および絶対仕事が増加する傾向がみられた. 以上のことから, 踏込脚の股関節伸展の仕事の減少は, 下肢のトレーニングの重要性を示唆するものであり, 投球腕の肩関節水平内転の仕事の増加は, “上肢動作に頼った投球動作” を示すものであると考えられる.

  • 松原 誠仁, 阿江 通良, 藤井 範久, 小池 関也
    2008 年 19 巻 p. 103-116
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は, アスリートにおける疼痛の有無と歩行キネティクスとの関係を逸脱度および左右差に着目して検討することである. 学生アスリート112名を, 疼痛の有無や部位にもとづいて, 非疼痛群, 腰痛群, 股関節疼痛群, 膝関節疼痛群および足関節疼痛群に分け, Zスコアを用いて歩行時の3次元下肢関節トルクの非疼痛群からの逸脱度や左右差を検討した. その結果, アスリートでは, 下肢に疼痛があると正常パターンからの逸脱や左右差がみられる部位があったこと, 左右肢間あるいは関節間で代償作用と考えられる現象がみられた. このことから, アスリートにおける障害発生の予測や予防には, 疼痛, 正常歩行動作パターンからの逸脱度, 左右差などを検討することが役立つという基礎的知見が得られた.

  • 平崎 鋭矢
    2008 年 19 巻 p. 117-124
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    歩行中の頭部と体幹の冠状面内での動きを運動学的に計測し, 歩行中の頭部安定メカニズムを探った. その結果, 歩く際に体幹は下肢の動きに合わせて支持脚側へ傾くが, 頸部の動きがそれをある程度代償するため, 頭部の角度変化の振幅は1度程度に押さえられることが判明した. 一方, 頭部には重力慣性軸 (GIA) の変化と同調する動きも観察された. これが単に慣性によるものか, あるいは耳石反射を介するものなのかについては今後の課題である.

  • 平尾 章成, 加藤 和人, 北崎 智之, 山崎 信寿
    2008 年 19 巻 p. 125-136
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    長時間運転時の肉体疲労は, 主に運転姿勢により起因する. 本研究では, 肉体疲労要因として筋骨格負荷を低減した新しい運転姿勢を矢状面内の着座姿勢とシート着座面形状の最適化により開発した. 開発したシート着座面形状における着座姿勢の生体力学的解析により肉体疲労の直接要因となる筋骨格負荷の低減を確認し, また長時間走行実験において官能評価および生理学的計測により肉体疲労低減効果を検証した. その結果, 定性的に疲労低減効果を確認すると共に, 生体システムにおける色々なレベルにおいて肉体疲労の影響を定量的に確認出来た.

3部 運動機能の支援
  • 内藤 尚, 井上 剛伸, 相川 孝訓, 長谷 和徳, 山﨑 伸也
    2008 年 19 巻 p. 139-149
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    筆者らは, 回転軸をソケット側面に配置した股義足用の股継手を開発している. 本研究では, 日常的に股義足を用いている被験者2名を対象に, 試作した股義足を用いた歩行動作を計測した. それらの歩行を普段用いている義足の歩行, 健常者の歩行と比較した結果, 開発した股義足では, 義足立脚初期に骨盤を突き出す左右非対称な代償運動が軽減し, 義足の遊脚期における膝の屈伸動作が健常歩行に類似したパターンを示したという点で, 義足立脚期初期および遊脚期中期におけるこれまでの股義足歩行特有の動作を改善させることができ, 開発した股義足の有効性が示された. さらに, 股継手をさらに改良する点として, 遊脚期初期の振り出しの力源に着目し, 受動要素からなる機構を提案し検討を行った.

  • 富山 弘基, 森本 正治, 中川 昭夫, 赤澤 康史, 古荘 純次
    2008 年 19 巻 p. 151-161
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    下肢運動機能障害に用いる装具の足継手として, 機能性流体の一種である磁性流体を応用し, 扇型の容器内に満たされた流体の粘度を磁場によって自在に制御してブレーキ力を作用させ, 足関節を制御する機構を組み込んだ. 以前製作した試作機では永久磁石をサーボモータで駆動してMR流体の粘度を制御していたが, 今回は電磁石を用いて制御を行うことで, 機構の簡素化と制御応答性の向上が実現できた. さらに有限状態制御方式による立脚初期の足関節底屈運動と遊脚期の足関節背屈保持を制御し, 下肢麻痺者に装着して有効性を計測評価した.

  • 櫻井 愛子, 山本 澄子
    2008 年 19 巻 p. 163-171
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では, 短下肢装具の底屈制動モーメントが片麻痺者の歩行における身体全体の動き, Rocker機能へ与える影響について明らかにするとともに, 装具の底屈制動モーメントで歩行が改善した症例の身体機能の特徴を抽出することを試みた. 対象は, 7つの歩行分析項目によって適切な底屈制動モーメントの大きさを設定できた片麻痺者14例とした. 装具なし歩行と装具歩行での体幹の動きを比較した結果, 装具歩行では骨盤回旋パターンの変化が見られた症例が多かった. また, 底屈制動モーメントによりHeel Rockerの足部と骨盤の動きが改善した片麻痺者では, Ankle Rockerにおける改善もみとめられた. これらのことから, 短下肢装具の底屈制動モーメントは, 片麻痺者の歩行における骨盤の動きを変化させ身体全体へ影響を与えること, 底屈制動モーメントの効果をHeel RockerからAnkle Rockerへ波及するためには, 立脚初期の骨盤の非麻痺側への回旋が重要であること, 骨盤を非麻痺側へ回旋させるためには膝関節, 股関節の分離した運動の必要性が示唆された.

  • 金 承革, 平上 健, 渋谷 啓, 松尾 隆
    2008 年 19 巻 p. 173-182
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    下肢筋の強い痙縮により, はさみ歩行やつま先歩行を呈する脳性麻痺児2名 (CP1, CP2) に対して選択的筋解離術を行い, その術前・術後での歩容を3次元動作解析システムで計測し, 手術治療の効果がどの関節運動に現れるかを分析した. 症例CP1では足関節底屈筋の痙縮が強く, 手術後に足関節背屈可動域が増大した. 下肢関節全体のばらつきが減少し, 関節モーメント波形も健常小児に近づいた. 症例CP2では, 左脚の膝関節屈曲筋と足関節底屈筋の筋力低下を推測させる膝関節過伸展, 足関節底屈モーメントの減少が見られた.

  • 内山 孝憲, 小幡 慎太郎, 内田 竜生
    2008 年 19 巻 p. 183-194
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    脳血管障害などによる麻痺肢には痙性がみられることが多い. 現在, 痙性は徒手筋力検査により, Modified Ashworth Scale (MAS) 等を用いて主観的に評価されている. 本研究では, 肘関節を対象として, 徒手筋力検査時に肘関節角度, トルク, 筋電図を計測した. これらの計測値を肘関節回りの運動方程式で近似して, みかけの弾性係数を求めた. ここで, みかけの弾性係数は肘関節角度と筋活動度に依存して変化すると仮定した. みかけの弾性係数の最大値 (kmax) を痙性の評価指標とした. kmaxの対数はMAS と強い相関を示した. また, 体格の影響を受け難い指標であることが分かった. 座位と立位時の痙性を評価したところ, 被験者の姿勢に依存してkmaxが変化した. これらのことから, 簡便な計測方法でありながら定量的な指標を提案する本手法は, 痙性の評価に有効であると考えられる.

4部 日常生活の支援
  • 井上 剛伸, 田中 久弥, 豊原 昂, 小竹 元基, 鎌田 実
    2008 年 19 巻 p. 197-209
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    本稿では, ALS (筋萎縮性側索硬化症) 患者を対象とした, BCI (ブレイン・コンピュータ・インターフェース) の開発について述べる. BCIは運動機能が著しく低下したALS患者のコミュニケーション手段として期待が大きいにもかかわらず, 技術主導の研究が多く, ニーズとのマッチングが十分ではないのが現状である. 本研究では, ALS患者を対象としたニーズ調査を行い, 日本語音声を聴覚刺激として与えた際に誘発されるP300を検出するBCIのコンセプトを構築した. 本システムは日本語の五十音から, 5者択一課題により3段階で一文字を選択することができる. 健常者およびALS患者での文字選択実験から, 意思伝達装置としての実用性が示された.

  • 石渡 利奈, 山崎 信寿
    2008 年 19 巻 p. 211-220
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    代表的な安静生活行為である読書を例に, 画像計測による眼球運動および開眼度について, 覚醒指標としての有効性を検証した. 読書中の目画像から水平・垂直眼球運動と開眼度の時系列グラフを取得し, 従来指標 (眼電位, 眠気表情値, 脳波) と比較した. その結果, 読書活動による能動的な眼球運動は入眠寸前まで維持され, 漢字含有率など内容によるばらつきも大きいために, 覚醒指標として用いることは困難であった. 一方, 開眼度は, 12名の被験者全てで眠気表情値と高い相関を示し, 脳波とも9名で相関を示したために, リラックス状態における覚醒指標となることが示された. なお, 読書中は脳波も個人差が大きかった. 開眼度を臥床者のモニタリングシステムに応用することで, 覚醒維持に向けたケアを充実させることが期待できる.

  • 土井 幸輝, 藤本 浩志
    2008 年 19 巻 p. 221-232
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    無色透明な紫外線硬化樹脂インクによる点字 (UV点字) は, 様々な素材上に墨字と共に印刷できるため, 現在, 共用品として急速に普及している. しかし, 指先の滑りの悪い素材では触読動作中に指先が引っかかりやすくなり, そこに印刷されたUV点字が識別しにくくなると考えられる. この問題に対して, 著者らは指先を滑りやすくするとUV点字の識別容易性向上の効果が見込まれると考え, 指先を薄くて柔らかい布で被うUV点字識別補助用指サックを考案した. 本研究では, UV点字の識別容易性を向上させる道具の提案をめざして, 指サックの着用効果を検証した. 指サックの素材としては, 点字の形状が伝わりやすい薄さと柔らかさに着目し, これらの特長を備えたポリエステル長繊維不織布を採用し, 指サックを作製した. そして, その着用・不着用時のUV点字の識別容易性を識別実験により比較した. その結果, 指サック着用により速く正確に識別できることがわかった. 本研究により, 指サックを着用するとUV点字の識別容易性が向上することが明らかになった. また, UV点字識別補助具としての有効性を示すことができた.

  • 勝平 純司, 佐々木 秀明, 丸山 仁司
    2008 年 19 巻 p. 233-242
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は移乗介助動作における介助用ベルト, トランスファーボード使用による腰部負担軽減効果を示すことである. 対象は健常成人男性9名とし, うち8名を介助者, 1名を模擬患者とした. 計測条件は車いすからベッドへの移乗を想定し, 補助器具なし, 被介助者ベルト装着, 介助者ベルト装着, トランスファーボード使用の4条件とした. 介助動作時の腰部負担は三次元動作分析装置と床反力計を用いた逆動力学分析により動的に算出される前後屈, 側屈, 回旋の三軸周りの腰部モーメントを指標として評価した. 結果として介助用ベルトを介助者に装着した場合とトランスファーボードを使用した場合に補助器具を使用しないときと比較して, 腰部後屈モーメントが減少することが明らかとなった. またトランスファーボードの腰部負担軽減効果が最も高いことが明らかとなった.

  • 二瓶 美里, 金重 裕三, 井上 剛伸, 藤江 正克
    2008 年 19 巻 p. 243-254
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    左右分離した2枚のベルトを有し, ベルト上で搭乗者が歩行運動を行うことにより移動する6輪型の移動支援機器を開発した. 左右の脚ごとに配置されたベルトを用いた機構は, 搭乗者が歩行中に発生する推進方向の成分である床反力の前後分力に相当する力を検出することが可能なシステムである. 各足底からベルトに加えられる推進力・制動力を検出し, 搭乗者の歩行速度を推定することで車両の速度入力とするシステムを応用し, 歩行パターンの左右足の差を基に車両の方向変換操作を行うシステムを構築した. 搭乗者の回転中心軸と同軸上に車両の旋回中心軸を置くために, 6輪の車両は中2輪に駆動輪, 前後4輪に全方向キャスタを採用した. 若年健常者, 健常高齢者による旋回走行評価より, 旋回操作において直接人間の歩行動作から回旋動作信号を抽出し, 歩行に類似した旋回操作が可能であることを確認した.

  • 山崎 信寿, 森 伊織, 原田 恵
    2008 年 19 巻 p. 255-266
    発行日: 2008年
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    既報の16分割実験ベッドを用いて37名の好みのクッション分布を計測した結果, 仰臥位では立位姿勢よりもやや腰を伸ばした姿勢を好み, 側臥位では脊柱の側屈や回旋が少ない姿勢を好むことがわかった. また, 側臥位の肩部のばね定数は仰臥位の6割程度になる. このため, 接触感を高めた上層と, 側臥位用に肩部中央のみを柔軟化した中層と, 6種類のクッションブロックを体格に合わせて配列する下層からなる, 3層9分割のウレタンマットレスを提案した. また, 小型軽量なばね定数可変装置を製作し, 若年者20名と中高年者50名の好みのクッション分布を計測した. これより, 少数の身体計測項目からばね定数を推定する重回帰式を導き, 適切なクッションブロックを選定できるようにした.

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