2008 年 19 巻 p. 35-46
刺激─反応 (S-R) 整合性とは, 選択反応課題において刺激と反応の空間的な位置関係が一致するときの方が, 一致しないときよりも反応時間が速くなる現象のことを言う. 本研究では, S-R整合性が情報処理過程における運動プログラムの構築にどのように関与しているのかを明らかにすることを目的に, 筋電図による反応時間分析, 脳磁図による大脳皮質活動の時系列分析を行った. 不整合反応は, 整合反応と比較してPremotor time, Motor timeが遅延し, 反応実行のための一次運動野の神経活動が弱いことが認められた. これらの結果は, S-R整合性が情報処理の時間的側面だけでなく運動プログラムの構築にも影響していることを示唆する. この脳内メカニズムについて, 二重ルート情報処理による自動的賦活と制御的賦活で説明する.