バイオメカニズム
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2部 感覚
操作の仕方と凸点の高さが携帯電話の操作性に及ぼす影響の関係
豊田 航土井 幸輝藤本 浩志
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2012 年 21 巻 p. 103-112

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抄録

本研究では, 視機能が低下した高齢者及び視覚障害者における消費生活製品の操作性向上に寄与する凸点の高さの条件を明らかにすることを目指し, 携帯電話における操作の仕方と凸点の高さがその操作性に及ぼす影響の関係を評価することを目的とした. 本実験では, 中途失明の一般ユーザーを想定して, 手元を遮蔽した晴眼若年者と晴眼高齢者に対して, 高さが異なる凸点が5番キーに付された携帯電話を, 人差し指による両手操作をさせる実験を行った. さらに, 本実験で新たに収集した人差し指による両手操作の結果と, 先行研究の親指による片手操作の結果を比較することで, 各操作の仕方における凸点の高さが携帯電話の操作性に及ぼす影響の違いを分析した. その結果, 人差し指と親指の各操作において, 若年者と高齢者のいずれも, 凸点の高さが0.3 [mm] の条件は, それよりも高さが低い条件と比べて早く正確に操作した. 一方, 親指による片手操作では, 凸点が0.3 [mm] よりも高くなるにつれて操作時間とエラー率が増加したが, 人差し指による両手操作ではこうした凸点の高さの増加に伴う操作時間とエラー率の増加が認められなかった. これらの結果の相違は, 両手操作と片手操作における手指の動作の違いに起因すると考えられる.

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© 2012 バイオメカニズム学会
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