2012 年 21 巻 p. 113-120
食品業界では消費者の味嗜好に関する研究が行われている. 一般的な官能評価は消費者の期待する味を表現する上で重要であるが主観評価である. また, 味覚センサも主に食品特性に限定されており, 客観評価には至っていない. そこで, 本研究では近赤外分光法を用いて味嗜好を評価した. 本手法を用いた味嗜好の評価例は殆ど報告されていないことから, 客観評価の可能性について検討した. 具体的には, 喉の渇きの違いによる生理的欲求の違いが客観評価に与える影響について検討した. 実験の結果, 前頭葉の脳活動と味嗜好との間に関係性があることがわかった. また, 重回帰分析法を用いることで心理的嗜好を酸素化ヘモグロビン濃度から推定するモデルを構築し, 真値と推定値との関係性について検討した. その結果, 高程度の正相関が得られ, 生理特性の違いにかかわらず, 本手法が味嗜好を客観評価するための手段として有効であることが示された.