2014 年 22 巻 p. 81-91
本研究では, 体性感覚入力 (運動感覚) に基づく運動調節機能を体性感覚–運動連関機能と定義し, 体性感覚–運動連関機能を測定評価するための運動課題 (運動平衡保持課題) を実施した. 運動課題の実施には, 作成したハプティックデバイスを使用し, 装置から加わる力との釣り合いを保ち, 身体位置の変化がどの程度生じたかを定量化した. これまでの報告に加えて, 装置から加わる力が漸増する局面と漸減する局面とで, 測定結果がどのように異なるかを調べた. さらに, 対象者を運動歴の有無に応じて2群に分類し, 運動歴の差異による影響についても検討した. その結果, 漸減する局面の方が漸増する局面に比べて課題の難易度が高く, 運動歴による影響も漸減局面において顕著であることが示された. また, 運動平衡保持課題を練習方法として用い, 両局面の測定結果がどの程度改善されるかについて調べ, 練習の前後で感覚機能と運動機能とがどのように変化するかについても検証した. その結果, 両局面ともに練習期間前後で有意に改善し, 感覚機能と運動機能も向上することが明らかとなった. これらの結果から, ハプティックデバイスを使用して実施する運動平衡保持課題は, 体性感覚-運動連関機能の測定評価方法として妥当であり, 感覚機能と運動機能の向上を目的とした練習方法としても有用である可能性が考えられた.