2014 年 22 巻 p. 69-78
本研究では, ダーツ投げ動作の鉛直面におけるリリース変数 (リリース時のダーツ位置, 投射速度, 投射角) に着目し, 1) 各リリース変数のばらつきの大きさ, 2) リリース変数間の相互補完構造の度合いに関して, 熟練者 (8名) と初心者 (8名) の違いについて検討した. 各被験者は60投のダーツ投げ動作を実施し, ダーツおよび人差し指の動作を7台の赤外線カメラ (480Hz) で撮影, 座標データを取得した. 分析の結果, パフォーマンス結果のばらつきが小さかった熟練者は初心者と比べて, 1) 全てのリリース変数のばらつきが小さく, 2) リリース変数間の相補構造の度合いも大きかった. ただし一部の熟練者は, 影響が最も強い投射角のばらつきを非常に小さくすることで, パフォーマンス結果のばらつきを小さくしていた.