2020 年 25 巻 p. 195-209
本研究は, 美しい歩行の特徴を明らかにすることを目的とし, 2つの観点から実験を行った. はじめに, 美しく歩いていると考えられる審美系の活動者を対象にその歩行特徴を, 運動学的観点から検討した (実験1). しかしながら, こうした動作が本当に美しいと評価されるかは不明である. そこで次に, 一般男女に一般人の歩行動画を審美性の観点で評価させ, その観点と相関のある歩行特徴を明らかにした (実験2). 実験1の審美系の活動者および実験2で審美性の高かった歩行に共通する特徴として, 骨盤の前傾角度が大きい, 体幹の伸展角度が大きい, 立脚期に膝の屈曲角度が小さい, という3点が確認された.