バイオメカニズム
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2部 センサ・デバイス
オンスクリーンキーボードを用いた視線入力作業における視線動態の解析
加藤 奏林 豊彦棚橋 重仁
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2020 年 25 巻 p. 69-79

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抄録

近年, 重度肢体不自由者が支援機器を用いるときの入力法として, 視線入力が一般化してきている. 現在の視線入力のユーザインタフェースであるオンスクリーンキーボードは, パソコンに実装されている一般的な方法を踏襲しており, 必ずしも眼球運動の特性・視覚認知特性を考慮して設計されていない. そこで本研究では, 視線入力に適したインタフェース設計の基礎研究として, 現在一般的な視線入力法を用いた文字入力で生じる視線停留の 「場所・時間」 「入力キーからの相対位置」 を明らかにすることを目的とした. キー形状は円形と正方形の2つとし, キー形状ごとにキーボードの使用性に関してアンケート調査した. 視線停留は, その継続時間によって 「短時間停留」 「長時間停留」 「文字入力」 の3つに分類し, 区分ごとに発生率および原点を入力キーとする分布を調べた. その結果, インタフェースの使用性は, キー形状によらず低かった. 視線停留は, 長時間停留と文字入力が 「入力するキー」 「その周辺キー」 に集中し, 短時間停留がキーボード上の広範囲で発生した. 円形キーの場合, 長時間停留と文字入力はターゲットキー周辺の比較的狭い領域で発生する傾向がみられた.

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© 2020 バイオメカニズム学会
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