主催: バイオフィリアリハビリテーション学会
共催: 国際バイオフィリアリハビリテーション学会(NPO高齢市民が活躍するための社会技術研究研究会)
後援: 厚生労働省, 神奈川県, 横浜市, 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会, 公益社団法人全国老人保健施設協会, 公益財団法人テクノエイド協会, 公益社団法人日本理学療法士協会, 一般社団法人日本作業療法士協会, 一般社団法人日本リハビリテーション工学協会, 一般社団法人日本生活支援工学会
会議名: 第23回バイオフィリアリハビリテーション学会大会 - リハビリテーション医療介入方法の多様化 -
回次: 23
開催地: 横浜
開催日: 2020/02/10 - 2020/02/11
p. 3-
近年の高齢化により脳卒中患者数が増加を続けており,一人の理学療法士が一人の患者に対してリハビリを行うという従来のリハビリシステムでは限界があるように思われる.そのため,最近の技術を用いた効率的なリハビリテーションシステムが検討されている.そのソリューションは,主に二つのグループに分けられる.第1の方法として,ロボットや器具を身体に装着してリハビリを行うというソリューションがある.その背景として,ロボットや装置の作成に必要な技術における技術革新がある.このロボットを用いたリハビリでは,患者がロボットを利用する場合と理学療法士がロボットを利用する場合の2種類があり,それぞれの場合でロボットが持っている機能が異なっている.患者に対してロボットや装置を使う場合の安全性を考慮すると,工場などで用いる装置よりもさらに安全で,ミスのない技術が要求される.最近のロボット技術の発展は目覚ましく,性能のよいリハビリ用ロボットおよびメカが提案されている.患者がロボットあるいはメカを利用する場合は,もちろん身体の十分に動かない部分の補助のために用いることになる.理学療法士がロボットを利用する場合には,理学療法士の身体の補助が目的となる.これらのソリューションでは,副次的に患者の身体機能を向上させることはあるが,必ずしも機能の復元を目的にしたものではない.
第2の簡易器具を用いたリハビリは,患者の機能回復を目的としたリハビリとなる.これらの簡易器具は,どのような形状・機能を持ったものが必要かを人間工学的にも検討していく必要があり,システムの評価には多くの労力が必要となる.簡易器具を用いたリハビリの特徴として,一人の理学療法士が複数の患者に対して同時にリハビリを行うことができる.このソリューションは,理学療法士の不足や高齢化社会における脳卒中患者の増加などに対応できることから,世界的にも期待が集まっている.このような簡易器具を用いたリハビリシステムとしてTakizawa methodが最も有力視されているが,脳機能計測などによる麻痺改善の客観的評価が必要である.
リハビリ時の脳機能脳計測では,fNIRSやfMRI利用されることが多く,これらの装置による計測技術も年々発展を続けている.リハビリを行っているときの脳の活性化状態などを調べるにはfNIRSが優れているが,頭皮付近の脳血流をデータ化しているため,脳の深度方向の情報が十分に得られないという欠点がある.それに対して,fMRIでは脳の深度に関する情報も得られるが、リハビリを行っているときのデータが取りにくいという欠点がある.fMRIの情報をもとにして,fNIRSを改良しようという試みがあり、ある程度の成果が出ている.今後,さらに研究が進展することにより,リハビリ効果を脳機能の観点から議論することができるようになると思われる.このように、リハビリを取り巻く環境や技術は年々変化している.ここでは,これまでバイオフィリアリハビリテーション学会が行ってきた活動を踏まえ、技術革新によって,今後のリハビリテーションがどのように変わっていくかについて説明を行う.