細胞構造に結合することで拡散速度が遅くなり,一分子として点状に可視化された蛍光標識分子を指す.蛍光チュブリンやアクチンを低濃度で導入し,細胞骨格線維を斑らに標識し動きを可視化する「スペックル顕微鏡」から,さらに標識体密度を下げ実現された経緯に由来する.(143ページ)(渡邊)
生理的条件下で高次構造をとりにくいタンパク質領域.疎水性アミノ酸が少なく,極性,荷電性アミノ酸に富む.疎水性相互作用による折り畳みが生じにくく,溶媒に露出する傾向が強い.これにより,分子間相互作用や翻訳後修飾のターゲットとなりやすい.(153ページ)(山崎,吉村)
タンパク質溶液において,溶質間相互作用により,溶質濃度の高い相が出現すること.非構造領域間の弱い多価相互作用で生じることが多い.近年,細胞内非膜オルガネラやタンパク質集合体の形成原理として注目を浴びている.(153ページ)(山崎,吉村)
脂質膜とアクチン線維が結合している場合に,アクチン線維の流れに伴い基板と液滴が接触した界面に発生する摩擦力.アクチン線維の流れが基板に及ぼすずり応力の向きと反対方向に生じ,液滴を前方に押し出す駆動力になる.(164ページ)(坂本)
粘性流体の運動方程式であるストークス方程式において,流体の粘性散逸によって生じる抵抗力.流体中を移動する物体が周囲の流体との相対運動によって受ける抵抗力を表し,物体の運動方向と逆向きに働く.(164ページ)(坂本)
高分子が架橋してできた物質は一般にゲルと呼ばれ,アクチン線維はミオシン分子等に架橋された生体高分子ゲルである.加えて,重合や脱重合,収縮力の発生など,物質やエネルギーの流出入を伴うゲルはアクティブ・ゲルと呼ばれる.(164ページ)(坂本)
頭部に左右一対の細胞体を持つ感覚ニューロン.頭部の先端まで樹状突起を伸ばしており,鼻先から環境情報を受け取ることができる.温度感受性の他に光感受性も持つ.(165ページ)(本村)
核に存在する転写制御因子で,リン酸化修飾によって活性を制御されている.アメフラシやショウジョウバエ,ラットなどの長期記憶の形成に関わっている.(165ページ)(本村)
頭部に左右一対の細胞体を持つ介在ニューロン.腸の前方付近にある細胞体から軸索を神経細胞の集まる神経環に伸ばしている.様々な感覚神経からの情報伝達を受け,フェロモン誘引や化学応答にも関わる.(165ページ)(本村)
尾部に左右一対の細胞体を持つ介在ニューロン.軸索が腹側を通って頭部まで投射している.ASJ感覚ニューロンからのシナプス接続を27個持ち,ASJの下流のニューロンの中で最も多いシナプス接続を受けている.(166ページ)(本村)
膜透過係数は膜を隔てた2つの層の間での物質の移動しやすさを示す係数である.2つの層の間の濃度差(c2 – c1)がある場合の流束密度(単位時間,単位面積あたりにどの程度の粒子が膜を隔てて移動するか)を表す数式J = P(c2 – c1)の中の係数Pとして定義される.(167ページ)(杉田)
反応座標に対するサンプリングを加速させるために使用される手法の一つ.反応座標の任意の部位を重点的にサンプリングするような拘束をかけたシミュレーションを多数同時に実行し,拘束の位置の定期的な交換を行う.(167ページ)(杉田)
溶質分子のコンフォメーションサンプリングを加速するために使用される手法の一つ.溶質の感じる温度が異なるシミュレーションを同時に実行し,温度を定期的に交換する.(168ページ)(杉田)
複数の分子が相互作用することによって構成される電子状態を励起子状態と呼ぶ.基本的には,各々の分子の局所的な励起状態間の相互作用を考える.また,そういった励起子状態を導出するためのモデルを励起子モデルと呼ぶ.(171・172ページ)(米田)
上記の励起子状態に加え,電荷移動状態との相互作用も考慮した状態.光学禁制な電荷移動状態であっても,励起子状態との相互作用により,ゼロではない遷移強度を獲得することができる.(172ページ)(米田)
タンパク質・酵素のある部位(アロステリック部位)において分子の結合や分解を伴う化学反応が起こり,それによって離れた位置にある活性部位やリガンド結合部位の活性および機能が調節される現象のこと.(173ページ)(古池)
タンパク質の二次構造が転移すること.すなわち「αヘリックスがほどけてループ構造になる」や「ループ構造の領域がβシートを形成する」といったような構造の変換を指す.(174ページ)(古池)
中性子を測定対象の試料に照射し,散乱される中性子を分析することで,原子や分子の運動の速さやその運動の空間的な広がりを捉える手法.ピコ~ナノ秒の比較的速い運動を捉えることができる.(174ページ)(古池)