関東支部では,役員の任期が2年で,本年度役員が交代しました.最初に,新しい関東支部の役員を紹介します.
【支部長】
池口雅道(創価大学大学院理工学研究科生命理学専攻)
【幹事】
黒田 裕(東京農工大学大学院工学研究院生命機能科学部門)
諏訪牧子(青山学院大学理工学部化学・生命科学科)
【会計】
光武亜代理(明治大学大学院理工学研究科物理学専攻)
【会計幹事】
高橋 浩(群馬大学大学院理工学府理工学基盤部門)
2023-2024年度は,このような体制で運営していきます.どうぞ,よろしくお願いします.
この「支部だより」を書いている2023年3月末時点では,日本全体の新型コロナ新規感染者数が1日当たり8千人程度以下の状況になっています.新型コロナの流行が終息したのか,それとも,単に流行の波の谷にあたっているだけなのか不明ですが,このような状況の中,第12回関東支部会を,2023年3月6・7日の2日間に対面開催で実施することができました.開催地は,記念すべき第1回と同じく東京農工大学の小金井の工学部キャンパスでした.キャンパス内の河津桜がちょうど満開で美しかったです(図1).第9回支部会を,2019年3月2・3日に和光理研で対面実施した以降,2年間はオンライン開催でしたので,実に3年ぶりの対面開催の支部会(研究発表会)でした.

東京港工大学小金井キャンパス中央にある池の河津桜が満開で見頃でした(2023年3月6日撮影)
当日の朝,会場である大学に到着して,まず目に入ったのが道案内の看板(図2)でした.オンライン研究会と違って対面開催だと,このような看板も必要だと改めて思い起こされました.この看板を見たことによって,確かに対面で実施できるのだと実感すると同時に,用意する方は大変だっただろうと,世話人の方々に感謝しなければと強く思いました.

会場への道案内看板
今回の発表総件数は,44件で,その内,講演が7分で質疑応答が3分の合計10分間の短い発表時間のAタイプが36件で,講演14分・質疑応答6分の長い発表時間(20分間)のBタイプの発表が8件でした.過去最も発表件数が多かった第10回(オンライン開催)の54件と比較すると10件ほど少なくなっていますが,第1回から第11回での平均発表件数は約42件ですので,例年通りの賑わいです.
ここ2年間のオンライン実施での支部会では,関東地区以外の地域からも参加者があったため,当初はオンラインでの発表時間枠を設けていましたが,今回は,外部からの参加希望者はありませんでした.オンライン枠で希望した人も,開催地の東京農工大・小金井キャンパスから遠い地域の関東の学生数名のみでした.それらの遠方の学生には旅費の援助制度があることを伝え,対面での発表への変更を打診した結果,全員が現地での対面発表を選択しました.その結果,今回は,ハイブリットも一切なく全面的な対面開催となりました.関東以外の地域からの発表申し込みがなかったのは,他でも発表する機会が結構多かったためかもしれません.
今回報告がなされた研究は,生体分子の物性・相互作用に関する分子物性物理学的なテーマのものから,培養細胞や,生理学的手法を用いた細胞生物学的テーマや,医療に近い「ミトコンドリア投与療法」の基礎研究までと実に多彩でした.日本生物物理学会の年会の発表テーマの傾向と比較すると,モータータンパク質関係の発表が見受けられませんでした.これは関東地区の研究分野の特徴という訳ではなく,偶然,そのような研究発表のエントリーがなかったためだけと思われます.
学会の年会とは異なり,関東支部の研究発表会では,留学生が英語を使用する場合を除いて,発表は日本語で行われため,言語による障壁が年会よりは低いこと,開催が3月初旬と,ちょうど卒業研究がまとまった時期でもあるため,今回も学部4年生が登壇者となる発表が16件ほどありました.
研究発表全体を通しての私の個人的な感想を,最後に簡単に述べたいと思います.細胞内での1分子計測,クライオ電子顕微鏡による生体高分子の構造解析,データ分析における機械学習的手法といったものは,生物物理学の分野において,標準的なテクニックとして定着したものになったのと,改めて感じました.新鮮であった手法は,デジタルホログラフィック顕微鏡でした.現在,ミクロンオーダーの小さい物体の3次元像(ホログラフィック像)が,ほぼリアルタイムで得られるほど洗練されているとは,私は初めて認識しました.特に印象に残ったものは,光合成の光捕獲アンテナであるクロロソーム1粒子を過渡吸収分光法によって解析し,エネルギー移動成分の同定に成功したという研究発表でした.吸収分光法という一般には感度が悪い測定と思われている手法でも,工夫次第で,1粒子ごとのデータ解析が実現するほどの高い精度の測定が可能になることには驚きました.
関東支部は「関東における生物物理学研究者・学生の交流を深め,研究教育活動の活性化を行うこと」(会則第1条)を目的としておりまして,研究発表会とならんで,交流を深めるための懇親会は最重要な行事のひとつです.正直,アルコールの提供を含む飲食を伴う懇親会ができるか多少不安でしたが,懇親会も無事,従来の形式で実施することができました.参加者は合計46名で,内学生31名と盛況でした(図3).

懇親会での集合写真
この懇親会で少し意外だったのは,教員よりも若い学生の参加者の方が多いにも関わらず,懇親会で料理が余ったことでした.生物物理学会年会の懇親会では考えられないことですが,新型コロナによるいろいろな規制・制限を経験したことで学生の気質も変わったのでしょうか.
時間の関係で質疑応答が中断してしまうような場合でも,後で,例えば,懇親会の際に発表者に詳しく話が聞けるなど,現地対面開催の良い面を,いろいろと実感した第12回関東支部会でした.
このような充実した会が実施できたのも,今回の支部会の代表世話人である黒田裕さん,世話人の太田義浩さん,並びに,その研究室のスタッフ・学生さん達の働きによるものです.心より感謝いたします.
次回の第13回の関東支部会は,東京理科大学の梅村和夫さんを世話人にとして,東京理科大学神楽坂キャンパスで行われる予定です.東京の中でも,取り分けアクセスの非常に良い場所での開催になりますので,多くの参加者を得て,盛大で有意義な研究発表会,懇親会になることを期待しています.