生物物理
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2024 年 64 巻 4 号 p. 214

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交互アクセス機構 Alternating access mechanism

1966年O. Jardetzky提唱.膜輸送体の膜貫通部分はV字型とΛ字型構造のどちらかをとり,かつ,各構造において膜貫通部分にある基質結合部位の基質に対する親和性が逆転する.これにより膜を介してどちらか一方から基質を取り込み,構造変化の後,膜の反対側でそれを放出するという,膜を介した物質輸送の基本的な作動機構.(186ページ)(村上ら)

適応システム Adaptive system

刺激に対する受容体活性を刺激前の状態へ戻す機構のこと.大腸菌の走化性ではメチル化酵素CheRと脱メチル化酵素CheBが受容体のメチル化レベルをコントロールすることで適応を行なっている.(197ページ)(内田,福岡)

MS2システム MS2 system

MS2バクテリオファージ由来のコートタンパク質はMS2配列を持つRNAステムループ構造に特異的に結合する.コートタンパク質にあらかじめ蛍光タンパク質を融合しておくことで,生細胞内の新生RNA合成を顕微鏡下で可視化できる.(200ページ)(川崎,深谷)

転写活性化ドメイン Activation domain

多くの転写因子はDNA結合ドメインと転写活性化ドメインからなる.転写活性化ドメインはメディエーターなどのコアクティベーターとの相互作用を介して基本転写因子やRNAポリメラーゼをゲノム上に呼び込み,転写を活性化する.(200ページ)(川崎,深谷)

被膜ウイルス Enveloped virus

エンベロープウイルス(enveloped virus)とも呼ばれ,感染宿主細胞由来の脂質二重膜を有する.ウイルス種によって異なる細胞内部位から出芽するため,その部位の脂質組成を基にした被膜を獲得する.(202ページ)(冨重)

FLIM-FRET

蛍光分子の蛍光寿命は環境に影響を受け易い.2種類の蛍光分子が発光スペクトルと励起スペクトルに重なりを持ち,かつ分子間の距離が約10 nm以下の時,ドナー分子からアクセプター分子へとエネルギーの受け渡し(蛍光共鳴エネルギー移動)が起こり,ドナーの蛍光寿命が短くなる.この蛍光寿命を測定することにより,分子間の距離やドナー/アクセプターの比率をモニターする方法.FLIM-FRETはFluorescence Lifetime IMaging based on Förster Resonance Energy Transferの略.(203ページ)(冨重)

PALM/dSTORM

回折限界を超えた分解能を持ち,1分子局在化顕微鏡法(Single Molecule Localization Microscopy)を原理とする顕微鏡法.PALMは蛍光タンパク質を,dSTORMは蛍光色素を用いた方法の呼称.(203ページ)(冨重)

非調和性 Anharmonicity

分子ポテンシャルを平衡構造周りでテイラー展開したとき,2次で打ち切ることを調和近似と呼び,3次以上の残りの項を非調和性と呼ぶ.各振動モード固有の非調和性(図1)の他,モード間結合がある.(205ページ)(八木,杉田)

GENESIS

理研・杉田グループで開発されているMD計算プログラム.https://www.r-ccs.riken.jp/labs/cbrt/より公開されているフリーソフト.(205ページ)(八木,杉田)

SINDO

著者(八木)によって開発されている振動計算プログラム.https://tms.riken.jp/research/software/sindo/より公開されているフリーソフト.(205ページ)(八木,杉田)

グループ局所化座標 Group localized coordinates

指定した置換基や化学種に局所化した分子振動座標.部分2次微分行列(Hessian)を対角化することで得られる.従来用いられてきた基準座標よりも,効率良く非調和性を取り込むことができる.(206ページ)(八木,杉田)

 
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