Bird Research
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原著論文
東京におけるヒバリの急激な減少とその原因
植田 睦之松野 葉月黒沢 令子
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2005 年 1 巻 p. A1-A8

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抄録

1973年から1978年と1997年に東京都で行なわれた繁殖分布調査の記録を使って,ヒバリの分布状況の変化と,変化の要因について解析を行なった.ヒバリが記録されたメッシュは,1970年代の101メッシュから1990年代の28メッシュへと大きく減少していた.ヒバリの分布状況と植生状況の判別分析の結果,ヒバリに影響する環境要素として1970年代,1990年代ともに草地と畑地および水辺の面積が採用された.しかし,1970年代は畑地面積がもっとも重要な要素だったのが,1990年代は最も重要でない要素に変化しているところに大きな違いがあった.この 3つの要素のうち,畑地のみが1970年代から1990年代にかけて面積が有意に減少していた.畑地の作物はヒバリが生息する麦が占める割合が減少し,野菜の割合が増加していた.また畑地の小面積化も進んでおり,このような畑地の面積の減少と質的な変化が東京のヒバリの減少に最も大きく影響していると考えられた.

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