抄録
2002年12月から2003年 2月にかけ,石川県能美市いしかわ動物園において,飼育下のトモエガモ雌雄各 1個体に 5種類の穀物を与え,食物の選好性についての選択実験を行なった.実験にもちいた食物は,ヒエ,小麦,籾,トウモロコシ,大豆の 5種類で,これらの食物を個別に与えた場合と,混合して与えた場合の 2通りの実験を,各個体について 8-18回行なった.その結果,個別に与えた場合には小麦とヒエの消費量がもっとも多く,さらに混合した場合でもヒエの消費量が最も多かった.また野外での越冬期間中の主要な食物と考えられた籾の消費は比較的少なかった.このことから,トモエガモはおもにサイズの小さな食物を選好し,また採食中に食物を選別して食べていることが示唆された.