抄録
2002年 1月から12月に,都心に位置する公園(六義園)においてハシブトガラスの死体の調査を行なった.その結果,合計44羽の死体を発見した.死体の発見は 3~4月が多く,全体の68%を占めた.3~4月は,食物が少ないと考えられる時期で,かつ成鳥が繁殖期をむかえ,なわばりを明確にする時期であることから成鳥個体のなわばり内で食物をとることができない時期である.そのため,若鳥の死亡率が高まるのではないかと考えられる.調査当時,六義園に集まるねぐら個体数は600~2,000羽とばらつきがあったが,これから少なくとも2.5~8.3%のカラスが死んだと考えられる.