2016 年 12 巻 p. A19-A29
都市部に生息する2種のカラス,ハシブトガラス Corvus macrorhynchos とハシボソガラス C. corone は,しばしば家庭から出たごみ袋をつつき,あたりにごみを散乱させ,悪臭や景観を悪くする問題を引き起こしている.そこで,どのような出し方をされたごみが荒らされやすいかを函館市において調査した.2015年12月と2016年1月に,函館市内において,計20か所の調査地域を設定し,それぞれ100件のごみ収集かごのデータを得るまで徒歩で調査を行なった.合計2,000件のデータを解析した結果,一軒家よりも集合住宅で出されたごみが荒らされやすいことが明らかになった.これは,一軒家では,ごみを荒らされた場合,当人が清掃などの片づけをしなければならないため,しっかりと管理をするが,集合住宅では,責任の所在が曖昧となるため,ごみの出し方がいい加減になるためと思われる.ごみ収集容器の形式では,容器なしとネットおよびブルーシートで覆われたものの被害が起こりやすいことがわかった.これらの出し方をしないことで,被害を抑えることができると考えられる.また,金属製のメッシュ容器については,メッシュの隙間からカラス類がごみをつつくので,網目からごみに嘴が届かないように板を設置するなどの付加的な対策をすることで,ごみの散乱を抑えることができることが示唆された.