沖縄本島において, 南米原産のコガネノウゼン Tabebuia chrysotricha に対するメジロ Zosterops japonicus の吸蜜および盗蜜行動を観察した.メジロは嘴が短く,またホバリングができないため,本来のポリネーターのハチドリとは違って,枝に留まって盗蜜をしていた.メジロは主に萼と花弁の隙間に嘴を入れる盗蜜,および花弁を裂いて行なう盗蜜をしており,後者では送粉が行なわれていると思われる. コガネノウゼンの蜜の糖度は,メジロが良く利用するハイビスカス Hibiscus rosa-sinens およびカンヒザクラ Cerasus campanulata の平均値および最大値を上回っており,食物として大きな価値を持っているように思われた.しかし,本行動は2011年には頻繁に観察されたにも関わらず,2012年,2013年,および2014年には全く観察されなかった.このことは,この植物がメジロの蜜利用を忌避させる可能性のあるフェノール配糖体およびナフトキノンを含んでいるためかもしれない