2017 年 13 巻 p. S35-S40
カラスバト Columba janthina が伊豆諸島八丈島と八丈小島の間を飛翔して移動する行動を観察した.8時間の調査時間中に,のべ約2,000羽のカラスバトが両方向に移動した.両島におけるカラスバトの生息状況を比較したところ,調査コース1kmあたりの平均確認個体数は,八丈島で1.54羽,八丈小島で69.93羽であり,八丈小島においてカラスバトが非常に高密度で生息していることが明らかになった.また八丈小島においては,活発な繁殖行動も確認された.撹乱の少ない八丈小島は,カラスバトにとって好適な繁殖地であると考えられる.一方,八丈小島で得られる食物資源には限りがあるため,その不足を補うため,多くの繁殖個体が八丈島とのあいだを頻繁に行き来していると考えられた.