2020 年 16 巻 p. A25-A37
ササゴイButorides striataは北アメリカを除くほぼ世界的に分布する種であるが,繁殖成績などの繁殖生態についての情報は少ない.そこで,栃木県宇都宮市の都市公園で2012年から2019年に本種の調査を行ない,繁殖生態,つがい数や営巣樹種の変化と繁殖成績との関係について明らかになったことを報告する.繁殖つがい数は,2012年から2016年まで徐々に増加したが,2017年以降減少した.調査した8年間に合計113巣が記録され,1巣あたりの巣立ちヒナ数は調査年により有意に異なった.巣は,地上から平均17mの高さにあり,細い枝に造られた.営巣木は,2012年から2014年にはヒマラヤスギでの営巣が多かったが,2015年以降はケヤキが多くなった.繁殖失敗の原因として,著者が把握できた範囲ではカラス・哺乳類による捕食,風による被害が記録されたが,多くの場合は不明だった.