青森県津軽地域で繁殖したチゴハヤブサについて,2018年の5巣と2019年の7巣を対象に,食痕とペリットの内容分析から採食内容を推定した.また,2019年には1巣について,巣内育雛期と巣立期の動画撮影から給餌内容を推定した.食痕から推定された食物は,鳥類21科32種,哺乳類1科3種,昆虫類14科24種で,鳥類と昆虫類が大部分を占めた.鳥類ではカワラヒワ(鳥類中18.3%),ツバメ(同17.9%),コムクドリ(同15.3%),スズメ(同14.1%)が多く,昆虫類ではセミ科(昆虫類中52.8%)とトンボ目(同44.1%)が多かった.また,哺乳類はすべてコウモリ類だった.動画撮影で推定されたヒナへの給餌では,昆虫類(145個体)が鳥類(23個体)を大きく上回った.これらの結果から,津軽地域のチゴハヤブサは営巣地周辺に多く生息する鳥類や昆虫類を主に利用していることが示唆された.