Bird Research
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原著論文
ゴルフ場における害虫駆除者として,スズメを誘致するために効果的な巣箱の入口穴径と設置高さ
佐藤 晴香高島 鼓三上 修
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2021 年 17 巻 p. A45-A52

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抄録

 ゴルフ場では一般的に害虫駆除のために農薬が使われている.人体への被害や生態系への悪影響への懸念から,農薬の使用を抑えるための方法として,スズメ等の昆虫を食べる鳥類による生物防除がある.スズメによる生物防除を効果的に行なうためには,スズメが選好する巣箱を明らかにし,目的とするゴルフ場にスズメを誘致する必要がある.そこで本研究では,峯岸(2011)のデータを使用し,以下の2つを明らかにすることを目的とした.1)スズメは,どんな大きさの穴径,および高さの巣箱を選んで使用しているか,2)スズメが選んだ巣箱の穴径と高さは,繁殖に適した穴径と高さと同じか,それともずれているか.その結果,スズメは30.82mmの穴径の巣箱を好み,その穴径は,高い繁殖成功をもたらす穴径とほぼ同じであった.また架設された範囲内では巣箱の高さは,スズメの巣箱使用割合に影響を与えていないこと,そして繁殖成功にも大きな影響を与えていないことが推測された.これらのことから,ゴルフ場にスズメを誘致する際には,約140 cmから約370cmのあいだであれば巣箱を架ける高さは考慮する必要がなく,巣箱の穴径については30-31mmとすべきと結論づけた.

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