Bird Research
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原著論文
鳥類群集の調査回数と確認種数の関係 -東京西部での事例
高槻 成紀 大出水 幹男
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ジャーナル 認証あり

2024 年 20 巻 p. A71-A81

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抄録

年を通した比較のための必要調査回数については検討が十分でなかった.そこで東京都小平市の玉川上水沿いの1.4 kmの樹林帯で10年間に2069回のルートセンサス法により鳥類群集調査を実施したデータをもとに,このデータを月1回の「10年間」,「3年間」,「1年間」のデータと比較したところ,種数はこの順に70.2%,54.8%,41.3%,個体数は5.8%,1.8%,0.8%であった.「10年間」では「全データ」で記録されたごく低頻度の種以外は記録され,「3年間」では一部の低頻度の種を除き多くの留鳥,夏鳥,冬鳥が記録されたが,「1年間」ではほかのデータ源では出現頻度の高かったジョウビタキやウグイスといった普通種でも記録できない種があった.全てのデータ源で高頻度であった種はすべて留鳥であった.小平市と皇居における3年間月1回の36回のデータを比較したところ,記録種数は小平市が46種,皇居が67種であった.小平市の2069回分のデータでは84種が記録されたから,調査回数が記録種数に影響を与えているのは明らかである.以上から,鳥類群集を比較する場合は通年調査をした上で,調査回数を揃える必要があることを指摘した.

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