2024 年 20 巻 p. S39-S44
外来種は食物資源や利用環境の競合,そして直接的な捕食といった様々な要因で在来種へ負の影響を及ぼしている.ガビチョウ Garrulax canorusは特定外来生物に指定されており,ここ数十年の間に分布域が急拡大している.本研究はガビチョウが鳥類の卵を捕食するかどうか検証することを目的として,人工巣と擬卵をビデオ撮影する実験を2022年の4月から7月に5回,富士山麓において実施した.その結果,4月下旬に1度ガビチョウが擬卵を持ち去る様子を記録した.擬卵を食べる様子までは記録できなかったが,ガビチョウが類似した営巣環境で営巣する種の直接的な捕食者となっている可能性があり,本種の食性や在来種への捕食がどの程度起きているのか解明を進める必要がある.