2024 年 20 巻 p. S45-S53
超望遠デジタルビデオカメラを使って,冬期におけるスズメの摂食行動の観察を行なった.観察は埼玉県毛呂山町岩井地内で2022年1月中旬~2月中旬に行なった.観察の結果,スズメは次の2つの方法で,果実を食べていることが明らかになった.1つは籾摺り型である.スズメは,嘴を用いて果実の外被を取り外した後に,果実を飲み込んでいた.スズメはこの方法を,イネ,オギ,ヌカキビ,メヒシバを食べる際に用いた.もう1つは噛み潰し型である.スズメは,果実を舌の上で回転させながら,舌と上口蓋の間で圧し潰して,果皮と種皮,または総苞を破壊していた.この噛み潰し型は,その後の行動によって更に2つに分けられた.1つは選別飲み込みであり,スズメは,破壊した果皮と種皮,または総苞を選んで捨て,残ったものを飲み込んでいた.スズメは,この方法をカナムグラ,オオブタクサ,コセンダングサを食べる際に用いた.もう1つは不選別飲み込みであり,スズメは,破壊した果皮と種皮を捨てずにすべてを飲み込んでいた.スズメは,この方法を,オオイヌタデを食べる際に用いた.アオビユの場合,スズメは最初,果皮を取り除き,次に種子を噛み潰し,そのまま飲み込んでいたが,種皮を破棄する場合もあった.