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Bird Research
Vol. 6 (2010) P A13-A28

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http://doi.org/10.11211/birdresearch.6.A13

原著論文

ミヤマガラスは日本には冬鳥として渡来する.九州地方とその周辺のみに渡来していたが,その後分布が広がり,その分布域の前線にあたる地域で関心が高まり,目撃記録が地域ごとに調べられている.しかし,日本全体の経緯についてのまとまった報告はまだない.そこで,野鳥関係のメーリングリストや雑誌などにアンケートを掲載し,ホームページ等を通じてミヤマガラスの情報を集めるとともに,既存の文献等の記録を収集し,日本におけるミヤマガラスの渡来地拡大の経緯を調査した.アンケート調査と文献調査によって,19道府県について初記録もしくはそれに準じる記録の情報を得ることができた.ミヤマガラスの分布は1970年代末には九州地方と山口県,島根県であったが,1980年代半ばから分布が広がりはじめ,日本海側を西から東へと拡大していった.1990年代には東日本で北から南へと分布が拡大し,2006年12月までに東京都を除く全道府県に分布が拡がった経緯が明らかになった.日本海側では積雪が分布拡大を助けた可能性があるが,影響は地域的だと考えられた.有機塩素系化合物や有機水銀系薬剤が使用された時期,海外でのミヤマガラスのこれらの物質に対する暴露の事例,極東のミヤマガラスの個体数と分布の変化から考えて,有機塩素系化合物や有機水銀系薬剤による環境汚染が改善されたことによる東アジア全体のミヤマガラスの個体数の回復が日本における分布の拡大のひとつの要因として考えられたほか,農業形態の変化による食物条件などいくつかの要因が影響したことが考えられる.

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