Bird Research
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テクニカルレポート
巣の分布と植生や土地利用状況をもとにしたオオタカの行動圏の推定手法
植田 睦之堀江 玲子内田 博遠藤 孝一
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2010 年 6 巻 p. T1-T9

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抄録

 オオタカは,森林内を移動するために,目視にて行動圏や重要な採食地を明らかにすることが難しい.そこで本研究では,巣の分布と植生や土地利用状況をもとにしたオオタカの行動圏の推定手法を開発し,ラジオテレメトリー調査で得られた位置データや行動圏により,その精度を検証した.
 推定方法は,行動圏は営巣地の分布から,ボロノイ分割(近接する点と点の垂直二等分線をもちいて区切る手法)を行ない,巣から3kmの円を描き,その重複する部分とした.重要な採食地は,行動圏を250m区画のメッシュで区切り,そのメッシュ内の林縁から150mの範囲の開けた環境(オオタカの採食地)の面積を計測した.この値を巣からの距離に応じて重み付けし,その値の上位25%を抽出した.この上位25%のメッシュで囲われた範囲を重要な採食地とした.
 この推定範囲が妥当なものかどうかを検証するために,推定された行動圏や重要な採食地と電波発信機調査により明らかにされたオオタカの利用地点やKernel行動圏との比較を行なった.
 推定行動圏内には86.7%の点が含まれ,この手法によりオオタカの行動圏をほぼ把握できていると考えられた.また,推定された重要な採食地に50%Kernel行動圏の平均92.1%が含まれており,この手法により重要な採食地もほぼ把握できているものと考えられた.

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