抄録
1996年 3月から2012年 6月までのあいだ,東京湾内の葛西臨海公園の人工なぎさで休息するカワウ Phalacrocorax carbo の羽数を調べた.カワウの羽数は2月から3月に急減し,6月から9月に急増していた.本調査地の周囲でのコロニーを利用しているカワウは冬期は内陸で採食するものが多く,夏期は海で採食するものが多いと考えられることから,休息地を利用する数にこのような季節変化が見られたものと考えられた.2004年7月以降羽数が次第に減少していたが,近隣コロニーの生息数は減少していなかった.これは,採食地や餌資源量が変化したことを示唆していた.朝,正午,夕方に行なった調査のうち,最多羽数が記録されたのは正午の調査であることが多かった.休息地の近隣のコロニーは立ち入り禁止地にあったので,攪乱はほとんどなく,帰還時間の制約がなかった.そのため,休息していたカワウは夕方をまたずににコロニー戻ることができるため,正午が多かったものと考えられた.