本稿は、平成二六年度神奈川県立歴史博物館調査研究事業個別研究「幕末開港期における信濃国松代藩の横浜警衛」の成果の一部である。当該研究においては、神奈川(横浜)開港場の警衛を文久二年から担った信濃国松代藩の活動実態を明らかにすることを目的とし、国文学研究資料館所蔵「信濃国松代真田家文書」の調査を行った。その結果、「信濃国松代真田家文書」に限った場合、有事における藩主の行動や神奈川奉行の指揮監督下に置かれることなどを示す史料がわずかに含まれるものの、物品購入に関する金銭出納帳と横浜警衛を命じられた松代藩士が出役する際と引き払う際に藩から借金をしていたことを示す内借証文が大半であることを得た。また、これまで松代藩が横浜警衛から離れた時期について判然としていなかったが、元治元年一○月までは横浜警衛を担い続けていたことが判明した。今後について、「信濃国松代真田家文書」に含まれる「日記」類ならびに国文学研究資料館所蔵「信濃国松代依田家文書」の利用、および松代藩士と横浜周辺住民との交流に目を配ることを課題としてあげた。