2021 年 2021 巻 50 号 p. 1-20
栃木県の塩原層群宮島層(中部更新統)湖成層から産出した魚類化石 12 個体を記載・同定した。これに先立ち,現生種のウグイ Tribolodon hakonensis の骨学的記載を行い,化石の同定に必要な形態学的な特徴を確認した。その結果,化石標本の 7 個体をコイ科ウグイ属種不明,5 個体をコイ科属種不明と同定した。本研究の成果を含め、塩原層群の魚類化石で属レベルまで同定された標本はウグイがほとんどを占める。このことから、ウグイの現生種が生息する日本の湖沼のデータに基づいて古塩原湖の pH の推定を試みた。