抄録
サンショウウオ属の2 新種を、日本の広島県南部から記載した。形態学的および分子系統学的解析に基づくと、アキサンショウウオは3 つのグループ(広島北部グループ、広島- 愛媛グループ、東広島グループ)に区別された。したがって、広島県南部および愛媛県北部に分布するグループと東広島市を中心に分布するグループを、それぞれHynobius geiyoensis sp. nov.(和名: ゲイヨサンショウウオ)とHynobius sumidai sp. nov.(和名: ヒロシマサンショウウオ)として記載した。雄個体による形態比較の結果、前者は他の2 種よりも頭胴長が有意に長かった。一方、後者はアキサンショウウオに似るが、尾の背面に明瞭な黄茶色の線をもっていた。本記載により、アキサンショウウオの分布域は大きく変更となるため、本種ならびに2 新種の保全に際して、生息状況を再評価する必要がある。