2022 年 2022 巻 51 号 p. 81-88
2020 年4 月から2021 年5 月までの期間、神奈川県小田原市の入生田地区において自動撮影カメラを用いた哺乳類相調査を行った。10 定点に設置したカメラにより、中大型哺乳類8 種および種同定の困難な齧歯目ネズミ科および翼手目の動物が合計で2,500 回撮影された。撮影数と撮影頻度指数はともにイノシシ、ハクビシン、タヌキ、ニホンジカの順に大きい値を示した。7 定点以上で撮影された7 種およびネズミ科を対象とした、定点ごとの撮影頻度指数を用いた種間の相関分析では、イノシシとニホンジカの間で特に高い相関を示し、ニホンイタチとネズミ科の間およびニホンアナグマのネズミ科の間でも相関が見られた。一方でニホンイタチとハクビシンの間などで弱い負の相関が見られた。撮影頻度指数の種間での相関は、生息環境の類似性や種間競争を反映している可能性がある。