抄録
琉球列島から得られたスズキ目アゴアマダイ科カエルアマダイ属の2新種、シモフリカエルアマダイStalix albonotataおよびサラシカエルアマダイStalix yanoiをそれぞれ2標本に基づき記載した。シモフリカエルアマダイは縦列鱗数が45–46および第1鰓弓の総鰓耙数が40–42(成魚の場合)、下顎の第1・2番目の感覚管孔がよく離れる、側線の最後の開孔が背鰭第2–3軟条基底下にある、上唇前部腹面に凹凸をもつ、生鮮時に体が灰みの黄でブラウンと白の緻密な虫食い状斑をもち、背鰭鰭膜が灰みの黄で複数の白の不定形斑をもつ、頤の前半に黒色素胞がないなどの形態学的特徴により同属他種から識別される。サラシカエルアマダイは縦列鱗数が45–48および第1鰓弓の総鰓耙数が36–37、両眼間隔域の後半部に2個の開孔をもつ、下顎の第1・2番目の感覚管孔はよく離れる、上唇前部腹面が円滑、生鮮時に体が一様に白みの緑で僅かにブラウンの色素胞で覆われる、背鰭鰭膜が白みの緑で明瞭な斑紋をもたないなどの形態学的特徴により同属他種から識別される。また、これら2新種を含む日本産カエルアマダイ属の検索表を作成した。