桐生大学紀要
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保育所(園)における食物アレルギーによるアナフィラキシーショックに対する救急処置体制構築に必要な要素
阿久澤 智恵子青栁 千春金泉 志保美佐光 恵子
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2015 年 26 巻 p. 1-8

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抄録

本研究の目的は,保育所(園)の管理者が食物アレルギー児のアナフィラキシーショック時の対応に必要だと認識している要素とエピペン® を持参する子どもへの対応の課題を明らかにすることである.A 県内の認可保育所(園)419ヵ所の施設長を調査対象とし,郵送法により無記名方式のアンケート調査用紙を送付した.アナフィラキシーショック発現時の救急処置体制を作るために必要だと思われる要素について自由記述をしてもらった.結果,回収116件中66件の記述があり,120記録単位が得られた.得られた記録単位を質的帰納的に分析した.アレルギー児の緊急事態発生時の救急処置体制を作るために必要な要素は,【研修受講・実演訓練の実施】【迅速な対応のための園内・園外の連携体制整備】【マニュアル・アクションプランの作成】【職員・他職種間の情報共有】【危機管理意識】【緊急時のアセスメント力】【専門職の配置の改善】の7つのカテゴリーに分類された.また,エピペン® を持参する子どもを受け入れている保育所(園)11施設が苦慮していることや課題についての記述についても内容分析を行った.その結果,事故が起こった時の救急処置対応のマニュアルを整え,全ての職員が自己の役割を理解し,その役割を果たせるように全職員が研修を受講すること,シミュレーション訓練を行っておくこと,それらの教育的支援のために看護職配置を推進していく必要性が示唆された.

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© 2015 桐生大学・桐生大学短期大学部
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