2022 年 33 巻 p. 51-56
ヤマトイモ,キクイモ茶および桑の葉茶のでんぷんの消化に及ぼす影響を明らかにするため,α-アミラーゼ酵素 反応に各試料を添加してα-アミラーゼ活性を測定し,その阻害率を調べた.また,ヤマトイモについては,水溶性 画分,加熱不溶性画分,非加熱不溶性画分のでんぷんの存在の有無を調べた.さらに,本実験に用いたブタ膵臓α- アミラーゼの基質に対する作用について調べた.その結果,次のことがわかった. 1 .ヤマトイモ水溶性画分ではα-アミラーゼ活性阻害が示された. 2 .ヤマトイモ加熱不溶性画分では,α-アミラーゼ活性が高まった. 3 .ヤマトイモ非加熱不溶性画分,キクイモ茶および桑の葉茶では,α-アミラーゼ活性阻害は示されなかった. 4 .ヤマトイモ加熱不溶性画分,非加熱不溶性画分にはでんぷんが存在したが,水溶性画分には存在しなかった. 5 . ブタ膵臓α-アミラーゼは,基質濃度(水溶性でんぷん濃度)を高めると活性が高まったが,生でんぷんを基質 に用いた場合,その活性は低くなった. それ故,ヤマトイモの水溶性画分には,膵臓α-アミラーゼ活性を抑制する物質が存在する可能性があること,ヤ マトイモの不溶性画分を加熱した場合,膵臓α-アミラーゼ活性を高める物質が生じる可能性があることがと考えら れた.この物質は加熱により生じた可溶性でんぷんであろうと考えられた.