2023 年 34 巻 p. 19-28
情報発信及び情報伝達の方法が大きく変化してきている現代においても,権利救済の方法として訴訟は非常に有 効な手段であるが,本来の趣旨とは異なる訴訟の利用については,欧米そして日本においても,対策する必要のあ る課題である.本稿では,正当な表現活動を抑制するための訴訟の濫用について,日本の「スラップ訴訟」と言われ る訴訟の判例を検討し,さらに米国の反SLAPP法及び欧米のSLAPP対策の現状を踏まえ,これまでの議論と現在の 状況を考慮しながら,検討・考察するものである.