抄録
近年,多くの自然災害が発生し,多くの人々が災害の犠牲となっている.特に,特別な配慮を要する人々への災
害時避難への対応は喫緊の課題であり,命を守るために計画的な対応を平穏時から考え共有しておくことが必要で
ある.現在,個別避難計画作成が推進されているが,努力義務であり全国的には策定が進んでいない現状である.
避難行動要支援者のなかには,在宅酸素療法(HOT)患者も含まれ,災害時には酸素供給の継続への支援や,呼
吸困難を最小限にするための安全な移動方法の支援など個々の状態に合わせた支援が求められる.
本研究では,2013~2024年に発表された国内文献を対象に,個別避難計画作成状況に関する内容を整理し,作成
が進みにくい要因を抽出するため,文献検討を行った.
検討の結果,個別避難計画作成が進まない要因として,作成に関わる人員・時間不足,個別避難要支援者名簿登
録の同意取得の難しさ,避難時の支援者不足,実効性ある訓練不足など,複数が抽出された.支援が必要である
HOT患者に関しては介護保険・身体障害者手帳申請がなされていないケースが多く,制度上の支援対象から漏れ
てしまう可能性がある.今後は,個別避難計画作成の必要性を避難行動要支援者も理解し,医療・福祉・行政が連
携し取り組みを進めていくことが不可欠である.