学校教育研究
Online ISSN : 2424-1504
Print ISSN : 0913-9427
ISSN-L : 0913-9427
第1部 <特集>教師の実践知の批判的継承と教師教育
実践知を創造する
油布 佐和子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 33 巻 p. 19-

詳細
抄録

 教員養成が大きく変わろうとしている。  まず,教員養成を中心的に担ってきた国立大学が改革の波に曝されており,その中で教育学部は草刈り場的状況に陥りつつある。今後,大学の統廃合や教職大学院を核にした生き残り策,あるいは,私立大学をも巻き込んだ改革が進むことが予測され,開放制教員養成について,改革が二転三転することは間違いない。第二に,教職課程認定行政等でのシラバス指導に見るように,教職課程コアカリキュラムのような〈外在的に〉作成されたスタンダードが,教員養成・教師教育の領域に影響を及ぼしつつある。スタンダードの導入が教師の質を保障するのか,あるいはチェックリスト化して画一的かつ教条的な教員養成が進むのか目がはなせない。第三に,〈理論と実践の往還〉を謳って登場した教職大学院が開設10年を経て,現職教員の〈研修の場〉へと姿を変えつつある。大学が現職教員の成長の場として新たな機会を提供できるのか,あるいは行政と一体化した教員研修の下請け的な役割を果たすようになるのか,大きな分岐点にある。同時に,このような改革の枠内でしか教員養成の生き残りはないと,嬉々として,あるいは不承不承にこうした政策を追認する大学人も少なくはない。このいずれをとっても,教員養成が重大な転換点にあることの証左である。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top