2021 年 36 巻 p. 78-
学校教育現場には多くの問題や課題が山積している。そのなかでも発達障害の可能性のある児童生徒に対する対応や指導については,教師たちの真摯な取り組みにも関わらず有効な方法が見当たらず,多くの教師が困難を感じている。 文部科学省(2012)の「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について」によれば,知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒は推定値6.5%となっているが,「通常学級における発達障害の可能性のある児童生徒」については担任等が指導のなかでそのように感じることが調査の基準となっており,医師による診断を経たものが対象ではない。このことは通常学級で担任が関わるなかで「発達障害の可能性がある」と感じる児童生徒が,実際には未診断の場合が多いことを示していると考えられる。