大阪府立公衆衛生研究所 研究報告
Online ISSN : 2185-4076
ISSN-L : 1343-2923
大阪府におけるエンテロウイルスの検出状況と分子疫学的解析(2012年度)
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2013 年 51 巻 p. 7-13

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抄録

2012年度に無菌性髄膜炎、手足口病およびヘルパンギーナ疑いで大阪府公衆衛生研究所に病原体発生動向調査事業および医師からのウイルス同定依頼で搬入された188検体のうち、68検体(36%)からエンテロウイルスが検出された。それぞれの疾患で最も多く検出されたウイルス血清型は無菌性髄膜炎でEchovirus 7 (Echo7、13検体、32%)、手足口病でEnterovirus 71(EV71、4検体、36%)、ヘルパンギーナでCoxsackievirus A2(CA2、5検体、9%)であった。無菌性髄膜炎患者に由来する検体から分離培養した7株のEcho7、手足口病患者から得た1株のEV71、ヘルパンギーナ患者から得た4株のCA2に対し、viral protein 1(VP1)領域の核酸配列を決定してそれぞれ分子系統樹解析を実施した。その結果、Echo7とCA2はそれぞれの株間で相同性が高く、全てが同じ遺伝的クラスターを形成した。2012年に流行したEcho7とEV71に最も近縁なウイルスは、それぞれ2005年にフランスで検出された株と、2009年に中国で検出された株であった。一方、CA2は2010年度に当所で採取した株と最も近縁であった。Echo7とEV71は国内外で循環している可能性が、CA2は国内を循環している可能性が考えられた。

© 2013 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所
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