大阪府立公衆衛生研究所 研究報告
Online ISSN : 2185-4076
ISSN-L : 1343-2923
51 巻
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  • 2013 年 51 巻 p. 1-6
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府ではウエストナイルウイルス(WNV)の侵入を監視する目的で、2003年度より媒介蚊のサーベイランス事業を実施している。また、死亡原因の不明なカラス死骸が2頭以上同一地点で見られた場合、それについてもWNV検査を実施している。 2012年度は6月末から10月にかけて府内20カ所で蚊の捕集を行い、得られた雌の蚊についてWNV遺伝子の検出を試みた。捕集された蚊は7種4471匹で、そのうちアカイエカ群(41.3%)とヒトスジシマカ(55.6%)が大部分を占め、他にコガタアカイエカ、シナハマダラカ、トウゴウヤブカ、キンパラナガハシカ、カラツイエカが捕集された。定点及び種類別の蚊337プールについてWNV遺伝子検査を実施したが、すべての検体においてWNVは検出されなかった。また、2012年度当所に搬入された死亡カラス2頭の脳についてWNV遺伝子検査を行ったが、WNVは検出されなかった。
  • 2013 年 51 巻 p. 7-13
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    2012年度に無菌性髄膜炎、手足口病およびヘルパンギーナ疑いで大阪府公衆衛生研究所に病原体発生動向調査事業および医師からのウイルス同定依頼で搬入された188検体のうち、68検体(36%)からエンテロウイルスが検出された。それぞれの疾患で最も多く検出されたウイルス血清型は無菌性髄膜炎でEchovirus 7 (Echo7、13検体、32%)、手足口病でEnterovirus 71(EV71、4検体、36%)、ヘルパンギーナでCoxsackievirus A2(CA2、5検体、9%)であった。無菌性髄膜炎患者に由来する検体から分離培養した7株のEcho7、手足口病患者から得た1株のEV71、ヘルパンギーナ患者から得た4株のCA2に対し、viral protein 1(VP1)領域の核酸配列を決定してそれぞれ分子系統樹解析を実施した。その結果、Echo7とCA2はそれぞれの株間で相同性が高く、全てが同じ遺伝的クラスターを形成した。2012年に流行したEcho7とEV71に最も近縁なウイルスは、それぞれ2005年にフランスで検出された株と、2009年に中国で検出された株であった。一方、CA2は2010年度に当所で採取した株と最も近縁であった。Echo7とEV71は国内外で循環している可能性が、CA2は国内を循環している可能性が考えられた。
  • 2013 年 51 巻 p. 14-17
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    11 種類の漢方製剤についてGC/MS を用いて、ピレスロイド系農薬の分析法の検討を行ったところ、良好な回収率と再現性を示し、分析法としての妥当性を確認した。さらに、既に分析法の妥当性を確認している漢方製剤を加えた20 種類141 品目の漢方製剤について残留するピレスロイド系農薬の分析を行った。 その結果、残留するピレスロイド系農薬は検出限界未満であった。
  • 2013 年 51 巻 p. 18-22
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成22 年度に大阪府にて実施した強壮効果を標榜する健康食品の試買調査において、1 製品よりシルデナフィル構造類似成分であるムタプロデナフィルを検出した。HPLC/PDA 及びLC/MS による分析の結果、当該成分は酸処理をすることによりメチソシルデナフィルに分解されることを確認した。さらに、その酸処理条件について検討を行ったところ、温度や酸の濃度及び種類が検出に影響を与えることが確認された。また、特定の酸処理条件下において未知化合物を検出した。
  • 2013 年 51 巻 p. 23-27
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    違法ドラッグの流通実態の把握及び取り締まりを行うために、大阪府内で流通している違法ドラッグの買い上げ調査を平成23年度から実施している。その結果、平成23・24年度に調査を実施した32検体のうち、31検体から19種類の指定薬物及び類似体と1種類の医薬品成分が検出された。
  • 2013 年 51 巻 p. 28-33
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    大阪府内7市の薬局を対象として残薬に関するアンケート調査を行った。業務形態については処方箋薬とOTC薬のみならず、食品や雑品などを販売している薬局が半数以上を占めた。医薬品等の廃棄に対する意識調査の結果から、医薬品類による環境汚染について、半数の人は知っているものの、まだまだ医薬品類による環境汚染についての認識が低いことがわかった。又、患者に対しての残薬の廃棄方法の指導を行っているのは半数以下で、麻薬などの法律で規定されているもののみ指導しているという回答であった。
  • 2013 年 51 巻 p. 34-41
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    平成24年度の文部科学省委託により実施した大阪府における環境及び各種食品中放射能調査結果を報告する。調査は、降水中の全β放射能測定、環境試料及び各種食品試料中のγ線放出核種分析、空間放射線量率について実施した。なお、本年度より、空間放射線量率は、福島第1 原子力発電所の事故を受け、府下に5基のモニタリングポスト(MP)を増設し、既存とあわせ、計6基で行っている。 また、平成22年度より行っている福島第1 原子力発電所の事故を受けたモニタリングの強化を引き続き行った。さらに、平成25年2月12日に北朝鮮が3回目となる地下核実験を行ったことを受け、当日から2月21日まで文部科学省の指示によりモニタリングの強化を行った。
  • 2013 年 51 巻 p. 42-50
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    シャンプーに使用されているラウレス硫酸ナトリウム(界面活性剤)を鼻から吸入した場合に卵白アルブミン(OVA)によるアレルギー反応を増強するか否かを調べ報告した。今回、前回の実験で得られた結果の再現性を確認する実験を行い、病理組織学的検査(右肺、胸腺、脾臓、肝臓) に鼻を追加した。 その結果、前回の実験でコントロール群(「蒸留水群」、「界面活性剤群」)と曝露群(「OVA群」、「界面活性剤+OVA群」)の間に有意差が見られた項目(左肺重量対体重比とOVA特異的IgG1濃度)に今回も有意差が見られたことから再現性のあることが確認された。しかし、これはOVAの吸入による生体への影響と考えられ、OVAと同時に界面活性剤を吸入させたマウスでアレルギー症状を増悪させるような影響は見られなかった。
  • 2013 年 51 巻 p. 51-56
    発行日: 2013年
    公開日: 2019/07/31
    研究報告書・技術報告書 オープンアクセス
    化粧品等に使用されているモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween80)をアレルゲンと混合してマウスの耳に塗布した場合に、アレルゲンの経皮吸収を促進するか否かを、惹起後にアレルゲン特異的抗体価を測定して調べた。Tween80濃度1%以下では、アレルゲン特異的抗体の産生亢進はみられなかったが、5%以上では、アレルゲン特異的抗体の産生亢進がみられた。5%以上では、塗布1日後に耳に軽度の紅斑を示す刺激性が観察され、刺激反応がアレルゲンの経皮吸収を促進したと考えられた。
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