2016 年 54 巻 p. 1-8
大阪府では蚊媒介性ウイルス感染症、特にウエストナイルウイルス(WNV)の侵入を監視する目的で、2003 年度より媒介蚊と死亡カラスについてサーベイランス事業を実施している。 2015 年度は 6 月末から 9 月末にかけて府内 24 カ所で蚊の捕集を行い、得られた雌の蚊について WNV遺伝子の検出を試みた。捕集された蚊は 9 種 4718 匹で、そのうちヒトスジシマカ(59.8%)とアカイエカ群(37.9%)が大部分を占め、他にコガタアカイエカなど 7 種類が捕集された。定点別及び種類別の蚊 393 プールについて WNV 遺伝子検査を実施したが、すべての検体において WNV は検出されなかった。さらに、ヒトスジシマカ 170 プールについて、デングウイルスとチクングニアウイルス遺伝子検査を実施したが、いずれも陰性であった。また、死亡カラス 6 羽の脳を対象に WNV 遺伝子検査を行ったが、WNV は検出されなかった。